日本経済新聞社が2020年秋に実施した「NEXTユニコーン調査」によると、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言発令の前の20年3月末と11月末の比較で、推計企業価値が120億円を超える44社のうち34社で従業員数が増加しています。コロナ禍の期間でも有力スタートアップは採用人数を増やしていました。

給与や焦りは禁物 転職後に鳴かず飛ばずも

スタートアップ転職の増加、すなわち若い有望な産業や企業に人材が移る流れができたのは、歓迎すべき変化だと思います。適正な市場価格で人材が流動するようになったのですから。スタートアップ転職のリスクが低くなるとともに、昨今の中高年リストラを鑑みれば、会社に残るリスクが高くなってきたともいえます。ただ、一方で個々の話をうかがっていると、懸念を持たざるを得ない側面も生まれてきました。

以前は転職のハードルが高いが故に、「このビジネスをやりたい。成功させたい」という決意の強い人が転職していましたが、現在はスタートアップ転職のハードルが下がったため、やりたいことがあまり明確ではない人たちが給与水準と焦りや危機感だけで転職する事例が見受けられるようになったのです。

焦りや危機感だけでとりあえず今の会社を飛び出しても、その先に輝くような世界が待っているとは限りません。スタートアップは評価次第で給与も大きく変わるところが多いので、転職時の給与が下がらなくてもその後は鳴かず飛ばずになる場合があります。

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「転職の1つ先」を見据えてキャリアを検討
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