日経Gooday

答えと解説

正解は、(3)ゆっくり歩く方が脂肪燃焼の割合は高いが、同じ時間での脂肪燃焼量は早歩きと同じかそれ以下になる です。

ゆっくり歩くウオーキングの運動強度は、最大体力[注1]の30~40%程度に相当します。一方、ややきついと感じて軽く息が弾む程度の早歩きの運動強度は、最大体力の60~70%に相当します(注:普段あまり運動習慣がない人の場合)。

信州大学学術研究院医学系・特任教授の能勢博氏は、ウオーキングと脂肪燃焼の関係についてこう説明します。「最大体力の60~70%に満たない低強度で運動するとき、エネルギー消費量のうち、60%は脂肪、40%はブドウ糖や炭水化物が燃焼しています。一方、強度を少し上げて最大体力の60~70%で運動するときは、脂肪燃焼はエネルギー消費量の20~30%だけになります。つまり、ゆっくり歩くほうが脂肪が燃焼する割合が多いのです。このことから、低強度の運動を長く行うほうがダイエット効果は高いと言われています」。

しかし、それはあくまでも「割合」の話で、トータルの「量」とは異なります。「ゆっくり歩くときのエネルギー消費量は1分間に約2kcalなので、脂肪はその60%にあたる1.2kcal分が燃焼します。一方、運動強度を上げた早歩きで1分間に6kcalを消費した場合、脂肪が使われる割合は20~30%ですから、1.2~1.8kcal燃焼することになります。つまり、『割合』だけで見ればゆっくり歩きのほうが脂肪燃焼効果は高いのですが、『量』で見ると、燃焼する脂肪は、早歩きと同じかそれ以下になるのです」(能勢氏)。

同じ量の脂肪を燃やすためには、きつめの運動のほうが短い時間で済むため、より効率的と言えます。さらに、きつめの運動には、筋肉がついて基礎代謝が上がり、安静時も脂肪が燃えやすくなるという効果もあります。

「基礎代謝とは、生命を維持するために使われるエネルギーのこと。筋肉はいつでも動けるように安静時もアイドリングしていて、筋肉を維持するだけでもエネルギーが消費され、脂肪も燃焼します。つまり、筋肉量が増えて基礎代謝が上がれば、燃焼する脂肪の量も増えるため、やせやすい体になるのです」(能勢氏)。

早歩きなどのきつめの運動のほうが短い時間で脂肪を燃やすことができ、筋肉も増えて基礎代謝が上がります。(写真はイメージ=123RF)

ウオーキングの目的は人それぞれですが、基礎代謝も含めたトータルの脂肪燃焼を増やし、体力向上や生活習慣病の予防なども期待するのであれば、大切になるのは「運動強度」です。「ダラダラ歩いていては、1日1万歩を歩いても見合った成果は出ません。しっかり効果を出すなら、ウオーキングの質、つまり運動強度を上げる必要があります」(能勢氏)。

能勢氏が提唱する「インターバル速歩」は、最大体力の60~70%レベルでの早歩きと、普通の速さのウオーキングを3分ずつ交互に繰り返すウオーキング法です。あえて普通歩きを間に挟むことで、「きつい」と感じずに長続きできるよう工夫がされており、脂肪燃焼や体力向上、生活習慣病の改善効果が得られることも実証されています。「インターバル速歩はいつでもどこでも手軽にできる、ジム要らずの運動法です。ぜひ毎日の習慣に取り入れて、脂肪燃焼や体力維持に役立ててください」と能勢氏は話しています。

[注1]最大体力=最大酸素摂取量(VO2max) 1分間に体が取り込むことができる最大酸素量のこと。

この記事は、「もっと知りたい! インターバル速歩のお悩み解決Q&A」https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/22/122300002/011300003/(田中美香=医療ジャーナリスト)を基に作成しました。

[日経Gooday2022年6月27日付記事を再構成]

「日経Gooday 30+」の記事一覧はこちら

医療・健康に関する確かな情報をお届けする有料会員制WEBマガジン!

『日経Gooday』(日本経済新聞社、日経BP社)は、医療・健康に関する確かな情報を「WEBマガジン」でお届けするほか、電話1本で体の不安にお答えする「電話相談24」や信頼できる名医・専門家をご紹介するサービス「ベストドクターズ(R)」も提供。無料でお読みいただける記事やコラムもたくさんご用意しております!ぜひ、お気軽にサイトにお越しください。