変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

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トップがきちんと把握しておくべきマネジメントの基本とは何か。目の前の問題解決で実績をあげ、社長に上り詰めたとき、ふと不安がよぎったり自信が持てなくなったりする瞬間が訪れるかもしれない。そんな瞬間はマネジメントの一角を担う役員昇格のときにも訪れる。社長の悩みに寄り添ってきた気鋭のコンサルタントが意思決定のよりどころになる経営書を紹介するシリーズの後半は、そんな新任役員に向けてお届けする。

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「そんな売り上げ見込みが曖昧な投資はダメでしょ。そんな無駄なことより、私の本部に人をよこしてください」

何か新しいことをやろうとすると、結局誰かに潰されてしまう。何をやろうにも政治に支配され、既存事業を守ることを優先してじわりじわりと沈んでいく企業は多い。多くの社員が危機感を感じているはずなのに、なぜそうなってしまうのだろうか。

組織の人数が多ければ、イノベーションより政治が勝つ

サフィ・バーコール『LOONSHOTS<ルーンショット> クレイジーを最高のイノベーションにする』(三木俊哉訳、日経BP)では、「なぜ多くの組織が新しいことよりも政治を優先してしまうのか?」について仮説を提示している。

「あなたが目の前の仕事の質を高めるよりも、上司にこびを売った方が評価・報酬を得られるのであれば、上司にこびを売る時間を増やす」というものだ。

この傾向は、①1人の管理者が見る部下の人数が少なくなる②出世に際しての給与の上昇率が高くなる③仕事と社員のスキルマッチや社員への教育を軽視する――ほど強くなる。

どうせ自分の成長や仕事の中身を会社は考えないし、細かく口を挟んでくる上司にこびを売っている方が給料が上がるのだったら、誰だって政治を優先するでしょという話だ。

本書では上記の傾向を踏まえ、組織が政治をせずに済む人数規模を算出できるはずだとしている。とりあえずのドタ勘として本書が提示する閾値は150人だ。それを超えてくると政治が優先されてくる。これが正しいとすると、上場企業はもとより、軌道に乗ってきたスタートアップも政治まみれのはずだ。

社内政治がはびこらないようにするのは、どんな企業でも簡単ではない(写真はイメージ=PIXTA)

社内政治がはびこらないようにするのは、どんな企業でも簡単ではない(写真はイメージ=PIXTA)

それも仕方がない。組織は一度自分で作ったやり方を、拡大再生産することで成長する。同じことを、何度も大規模でやってなんぼの世界だ。そのためには統制が必要だ。社員はソルジャーとして言うことを聞いてもらわなくては困る。だから、上司の言うことを聞く人間を褒めたくなるのも仕方がないし、新しいやり方は邪魔になる。

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