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新刊や話題の本を並べた書棚の最上段に3冊並べて面陳列する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

新刊や話題の本を並べた書棚の最上段に3冊並べて面陳列する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している紀伊国屋書店大手町ビル店だ。新型コロナウイルスの新規感染者が再び大きく増え始めたこともあり、年明けのオフィス街は人出の戻りが鈍いまま。書店の来客も厳しい状況が続く。そんな中、書店員が注目するのは巨大IT企業、アマゾン・ドット・コムを率いるジェフ・ベゾス氏の25年に及ぶ発言を集めた本だった。

「株主への手紙」や講演を収録

その本はジェフ・ベゾス寄稿『Invent&Wander――ジェフ・ベゾスCollected Writings』(関美和訳、ダイヤモンド社)。副題にあるとおり、アマゾンを創業したベゾス氏の書いたものやインタビューを集め、1冊の本にまとめたものだ。ベゾス氏やアマゾンについて書かれた本は数多くあるが、ベゾス氏自身の生の言葉に触れる機会は少ない。その意味でベゾス氏の考え方や経営哲学を直接知ることができる貴重な本に仕上がっている。

全体は2部構成。PART1では上場以来、毎年ベゾス氏が株主に向けて書いてきた手紙が時系列に沿って掲載されている。PART2は、インタビュー、講演、公聴会での証言などをテーマ別に並べる。

株主への最初の手紙は1997年を振り返ってのものだ。この年アマゾンは米ナスダック市場に上場した。上場前年の年間売上高は1575万ドル。日本円換算で約17億円という規模だった。それがわずか1年で838%増の1億4780万ドルに達したと誇らしげに書くところから始まるその手紙には、ベゾス氏の経営の基本理念、大原則が簡潔に集約されている。

その1つは手紙の見出しにもなっている「長期がすべて」という考え。「アマゾンの成功は、私たちが生み出す長期的な株主価値によって測られると信じています」と書き、「短期利益や目先のウォール街の反応よりも、長期的に市場リーダーとしての地位を固めることを考えて、投資判断を行い続けます」と書く。

もう一つはキャッシュフローの重視。「もし決算報告の見栄えをよくするか、将来キャッシュフローの現在価値を最大化するかの二者択一を迫られたら、キャッシュフローを選びます」。年間200億円足らずの売り上げの時代からこうした原則が貫かれていたことが本人の言葉で手に取るようにわかる。

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