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20年ぶりの体験 宣材写真のための撮影(井上芳雄)

第113回

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NIKKEI STYLE

日経エンタテインメント!

井上芳雄です。今回は写真撮影にまつわる話です。最近、自分の宣材写真の撮影と、6月から帝国劇場で上演されるミュージカル『ガイズ&ドールズ』のポスター撮りが続けてありました。実は、宣材写真だけのために撮影したのは約20年ぶりのこと。これまではほかの仕事の撮影のときに一緒に撮っていたこともあって、なかなかこれというのが定まらなかったのですが、ようやく今の自分らしい宣材写真が撮れたように思います。

宣材写真は、宣伝材料の写真ということでしょうが、アーティスト写真ともいわれていて、僕たちの名刺代わりになるもの。事務所に所属すると、最初にやるのが宣材写真を撮ることですし、顔や雰囲気も変わっていくから、何年かおきに新しい写真を撮って使っています。

僕の場合、これまでは宣材写真だけを撮るのではなく、イベントやコンサートなどの宣伝写真を撮影する機会に、一緒に撮っていました。とにかくずっと忙しかったので、落ち着いて撮る時間がなく、ほかの企画と一緒にぱぱっと撮るのを繰り返していたという感じです。最近使っていたのは髪を横に流していた絵柄ですが、これもカレンダーと一緒に撮ったもの。雰囲気がアンニュイというか、イメージが限定されてしまうので、ファンの方の間でもずっとこれを使っていいのかと論議を呼んでいたそうです。たしかに舞台の告知チラシに使われたとき、役とイメージがあわない場合もありそうで、僕自身もこれじゃないなと思いつつ、それでも1年くらい使っていたでしょうか。

そんなこともあって、宣材写真はオールマイティーに使うものだから最大公約数的なイメージがいいということになり、それだけをちゃんと撮ることになりました。『奇蹟 miracle one-way ticket』の舞台の昼公演が終わった後、スタジオにカメラマンさん、スタイリストさん、ヘアメイクさんといったなじみのスタッフが集まって、フォーマルとカジュアルの2パターンの絵柄を撮影しました。デビューして22年になりますが、実は宣材写真だけのために撮影をしたのは、これが2回目。今の事務所に入って、最初に宣材写真を撮ったとき以来なので、なんと約20年ぶりです。

今回、宣材写真だけを撮ってみて、まずよかったのは、ずっと一緒にやっているスタッフさんと落ち着いてやれたこと。いつもと違うスタッフさんだと、やっぱりちょっと違う感じの仕上がりになったりするので。それと、コンディションのいいときに撮れたこと。そのときによって、やせていたり太っていたり、髪が短かったり長かったりするのですが、名刺代わりなので、全部をベストの状態にすることはできないにしても、できるだけいい状態で撮りたいですよね。顔も、舞台の本番中だったので人から見られている顔になっていて、すっとしていました。これが稽古中やお休み中だと、油断している感じになってしまいます。

撮られるときに気をつけるのは向きと表情

宣材写真ならではの撮影の難しさもあります。一番ニュートラルな撮影なので、逆にどんな表情やポージングをしたらいいのか迷うのです。衣装も白シャツや黒シャツといった、装飾がないプレーンなものを着ることが多いですし。雑誌の撮影みたいな感じで雰囲気のあるポージングをしていたら、「それはセクシー過ぎますね」とカメラマンさんに言われて、それもそうだなと。偏り過ぎると宣材には不向きなので、基本的にはさわやかに笑ったり、シリアスな作品や役のときのために、きりっとした表情をつくったりしました。

撮られるときに気をつけているのは向きと表情です。これを読んでくださっている方もポートレートを撮る機会があると思うので、参考になるかもしれませんね。まず向きは、右か左のどっちかに振るようにしています。役者さんの写真でも、この人はこっち側の顔しか写さないというのはよくあります。カメラマンさんからもどっちの側がいいですかと聞かれます。僕の場合は、左目が二重で、右目が奥二重なので、目がぱっちり見えるように左側に振る方が多いのかな。気持ち横を向くくらいが自然なのでしょう。自分のどっち側の顔が好きかを認識しているだけでも、写りが違うんじゃないかなと思います。

口元も大事です。「笑ってください」と言われて、不自然な笑いしかできない人は結構いますね。役者さんでも、面白くもないのに笑えるかというので、そんなに笑わない人もいるし。笑おうとするときに大事なのは呼吸だと思います。笑わなきゃと思うと息が止まってしまい、苦笑いみたいになりやすいのですが、息を吸って吐きながら笑うという一連の動作を意識するといいと思います。ずっと同じ笑顔だと、どんな人でもこわばってくるので、いろんな笑い方をしてみるのも大事なことです。

歯を出すか、出さないかも悩むところ。自然に笑うと歯は出ちゃうのですが、TPOによっては笑い過ぎにもなるので、オフィシャルなものでは歯を見せずに笑う方が多いように思います。これも難しくて、笑っていないつもりでも、結構笑っているように見えたりすることがあるし、逆もしかり。特に口を閉じて笑うのは、上品な笑いみたいな感じになって、その加減が難しい。事前に準備というか、実際に笑っているところを撮ったりして、自分の感覚と見た目が一致しているかどうか、知っておいたほうがいいですね。

だから、写真を撮るときに笑うのって、演技に近いのだと思います。笑顔をつくるときに、よく言われるのは、いいにおいをかいだときのことを思い出して、息を吸って、と。あとは、好きな食べ物を思い出すとか、楽しいことを思い出すとか。表情を作るのは、やっぱりとても難しいことですね。

そんなふうにして、約20年ぶりにちゃんと宣材写真を撮りました。スタッフの皆さんのおかげで、今の自分らしい写真が撮れたという感触を得ています。普段の自分が自然に出ていればいいし、気持ちとしては2、3割程度、自分が思っている自分よりもすてきに仕上がっているとうれしいと思っています。

実はポスター撮りが役づくりのスタート

その前日には、6月から帝国劇場で上演されるミュージカル『ガイズ&ドールズ』のポスター撮りがありました。ポスター撮りは宣材写真とは正反対の撮影です。役として撮るので、自分本来のよさというよりは、役としての表情やポージングをとる必要があるし、自分の何割増しになっても問題ないというか、すてきに見えれば見えるほど、お客さまに喜ばれます。そういう意味で、同じ写真撮影といっても役割がずいぶん違います。

ポスター撮りは、公演が始まる2カ月前とか作品によってはもっと前に撮ります。役といっても、まだ稽古もしていない場合がほとんどなので、表情やたたずまい、ポージングをどうしたらいいのか、自分でも分からない場合が多いのです。だから試行錯誤しながらの撮影ということが結構あります。『ガイズ&ドールズ』は1950年にブロードウェイで初演された、禁酒法時代のニューヨークを舞台にした有名なミュージカル・コメディーで、日本でもこれまで度々上演されてきました。僕が演じるのは超大物ギャンブラーのスカイで、初めて演じるのですが、作品自体は何回も見たことがあるので、役のイメージはだいたいありました。とても二枚目な役なので、こういうポーズですかね、こういう表情ですかね、とスタッフさんと相談しながらの撮影でした。

衣装はスリーピースのスーツで、ズボンは太め、肩幅もがっちりあるので、今の時代のスーツとは形が違います。帽子もかぶるのですが、そういう小物の扱いが意外と難しい。そんなときは、宝塚歌劇団の男役経験者の方が格段に扱いがうまいので、教えてもらったりします。帽子をかっこよくかぶるには、左右のどちらかに振って、前後も前が下で、後ろが上がっているようにしたり、つばをちょっと下に向けて癖をつけておくとか、そういう流儀があります。役とのファーストコンタクトというか、この役はこういう服装で、こういう表情をするんだというのを初めて経験することが多いので、実はポスター撮りが役づくりのスタートなのかなとも思います。

相手役の方とも初めて会ったり、ちょっと絡んだりもするので、いろいろと感じることもあります。今回のヒロイン、明日海りおさんは宝塚の男役出身の方。僕の妹と宝塚で同期だったので、仕事相手の女優さんというよりは、昔から知っている妹の友達に会うみたいなところがあって、ちょっと照れくさかったりもしました。でも、そんな雰囲気は全く出さないで撮影に臨んだつもりですが、写真の出来はどうでしょうか。明日海さんは自然に振る舞っていらしたし、扮装(ふんそう)された姿もとてもきれいですてきでした。

今回撮った宣材写真やポスターがみなさんの目に触れるのはこれからだと思いますが、どんな仕上がりになっているか。お楽しみに。

夢をかける』 井上芳雄・著
 ミュージカルを中心に様々な舞台で活躍する一方、歌手やドラマなど多岐にわたるジャンルで活動する井上芳雄のデビュー20周年記念出版。NIKKEI STYLEエンタメ!チャンネルで月2回連載中の「井上芳雄 エンタメ通信」を初めて単行本化。2017年7月から2020年11月まで約3年半のコラムを「ショー・マスト・ゴー・オン」「ミュージカル」「ストレートプレイ」「歌手」「新ジャンル」「レジェンド」というテーマ別に再構成して、書き下ろしを加えました。特に2020年は、コロナ禍で演劇界は大きな打撃を受けました。その逆境のなかでデビュー20周年イヤーを迎えた井上が、何を思い、どんな日々を送り、未来に何を残そうとしているのか。明日への希望や勇気が詰まった1冊です。
(日経BP/2970円・税込み)
井上芳雄
 1979年7月6日生まれ。福岡県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。大学在学中の2000年に、ミュージカル『エリザベート』の皇太子ルドルフ役でデビュー。以降、ミュージカル、ストレートプレイの舞台を中心に活躍。CD制作、コンサートなどの音楽活動にも取り組む一方、テレビ、映画など映像にも活動の幅を広げている。著書に『ミュージカル俳優という仕事』(日経BP)、『夢をかける』(日経BP)。

「井上芳雄 エンタメ通信」は毎月第1、第3土曜に掲載。第114回は5月7日(土)の予定です。

夢をかける

著者 : 井上芳雄
出版 : 日経BP
価格 : 2,970 円(税込み)

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