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撮られるときに気をつけるのは向きと表情

宣材写真ならではの撮影の難しさもあります。一番ニュートラルな撮影なので、逆にどんな表情やポージングをしたらいいのか迷うのです。衣装も白シャツや黒シャツといった、装飾がないプレーンなものを着ることが多いですし。雑誌の撮影みたいな感じで雰囲気のあるポージングをしていたら、「それはセクシー過ぎますね」とカメラマンさんに言われて、それもそうだなと。偏り過ぎると宣材には不向きなので、基本的にはさわやかに笑ったり、シリアスな作品や役のときのために、きりっとした表情をつくったりしました。

撮られるときに気をつけているのは向きと表情です。これを読んでくださっている方もポートレートを撮る機会があると思うので、参考になるかもしれませんね。まず向きは、右か左のどっちかに振るようにしています。役者さんの写真でも、この人はこっち側の顔しか写さないというのはよくあります。カメラマンさんからもどっちの側がいいですかと聞かれます。僕の場合は、左目が二重で、右目が奥二重なので、目がぱっちり見えるように左側に振る方が多いのかな。気持ち横を向くくらいが自然なのでしょう。自分のどっち側の顔が好きかを認識しているだけでも、写りが違うんじゃないかなと思います。

口元も大事です。「笑ってください」と言われて、不自然な笑いしかできない人は結構いますね。役者さんでも、面白くもないのに笑えるかというので、そんなに笑わない人もいるし。笑おうとするときに大事なのは呼吸だと思います。笑わなきゃと思うと息が止まってしまい、苦笑いみたいになりやすいのですが、息を吸って吐きながら笑うという一連の動作を意識するといいと思います。ずっと同じ笑顔だと、どんな人でもこわばってくるので、いろんな笑い方をしてみるのも大事なことです。

歯を出すか、出さないかも悩むところ。自然に笑うと歯は出ちゃうのですが、TPOによっては笑い過ぎにもなるので、オフィシャルなものでは歯を見せずに笑う方が多いように思います。これも難しくて、笑っていないつもりでも、結構笑っているように見えたりすることがあるし、逆もしかり。特に口を閉じて笑うのは、上品な笑いみたいな感じになって、その加減が難しい。事前に準備というか、実際に笑っているところを撮ったりして、自分の感覚と見た目が一致しているかどうか、知っておいたほうがいいですね。

だから、写真を撮るときに笑うのって、演技に近いのだと思います。笑顔をつくるときに、よく言われるのは、いいにおいをかいだときのことを思い出して、息を吸って、と。あとは、好きな食べ物を思い出すとか、楽しいことを思い出すとか。表情を作るのは、やっぱりとても難しいことですね。

そんなふうにして、約20年ぶりにちゃんと宣材写真を撮りました。スタッフの皆さんのおかげで、今の自分らしい写真が撮れたという感触を得ています。普段の自分が自然に出ていればいいし、気持ちとしては2、3割程度、自分が思っている自分よりもすてきに仕上がっているとうれしいと思っています。

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実はポスター撮りが役づくりのスタート