カーネル・サンダースも登場

プロローグではチンギス・カン、第1章ではキリストと孔子、第2章はガンジー、第3章はケンタッキーフライドチキンのカーネル・サンダースという具合に、さまざまな時代の人物のエピソードを語りながら、今の当たり前が当たり前ではなかった時代の常識や価値観、その中で生きた人の軌跡を示していく。

乱暴に言えば「実在のイエスは、地方都市で処刑されたちょっとエキセントリックな元大工」だが、たまたま歴史に名を残し、「後世への影響という点では、間違いなく史上最強の一人」となっている。そんなふうに歴史を紹介ながら「いま、人生がうまくいっていない人も、あまり落ち込まない方がいいでしょう」と語る。歴史が示す当時の常識や価値観を知ると、いまの自分を取り巻く状況がどう見えてくるかをわかりやすく示してくれるのが本書の特徴だ。

「軽めのビジネス書や自己啓発本はこの店では売れ筋にならないことが多いのですが、この本は4月初めの入荷直後からよく売れて、一時、店頭在庫がなくなってしまった」と店長の加藤よしこさんは話す。歴史関連では時事的なテーマでもあるウクライナを取り上げた本も平台に並ぶが、そうした本格派とはひと味違った売れ方をしているようだ。

コトラー氏の最新刊が5位に

それでは先週のランキングを見ていこう。

(1)オークションで不動産を高く売る方法露木裕良著(幻冬舎)
(2)テレワーク本質論田澤由利著(幻冬舎)
(3)さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版トム・ラス著(日本経済新聞出版)
(4)2030 半導体の地政学太田泰彦著(日本経済新聞出版)
(5)コトラーのマーケティング5.0フィリップ・コトラーほか著(朝日新聞出版)

(紀伊国屋書店大手町ビル店、2022年5月2~8日)

1位は個人の不動産投資を支援する企業の経営者が不動産の売却法を解説した本。2位はテレワークのあるべき姿と役割を考察した本で、著者はテレワーク専門のコンサルティング会社の経営者だ。3位は自分の強みを見つける本。現在は17年刊の新版に切り替わっているが、01年刊の旧版刊行以来、ロングセラーが続いており、帯には累計100万部突破の文字が躍る。4位の本は、半導体をめぐる国家間の覇権争いを地政学的な視点で読み解き、日本の半導体の将来像を展望する。5位はマーケティングの大家、コトラー氏の最新刊。10年の3.0、17年の4.0に続く5.0はデジタル化に対応するためのマーケティング戦略を説いている。今回紹介した『歴史思考』は先週はランク外だった。

(水柿武志)

世界史を俯瞰して、思い込みから自分を解放する 歴史思考

著者 : 深井 龍之介
出版 : ダイヤモンド社
価格 : 1,650 円(税込み)