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新書コーナーの棚端の平台中央付近に2列並べて展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

新書コーナーの棚端の平台中央付近に2列並べて展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

本はリスキリングの手がかりになる。NIKKEIリスキリングでは、ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチし、本探し・本選びの材料を提供していく。今回は定点観測している紀伊国屋書店大手町ビル店だ。この年末年始はビジネススキルや実用系のビジネス書よりも時事的なテーマを扱った本の反応が高かったという。そんな中、書店員が注目するのは、今なお続くロシアによるウクライナ侵攻について、なぜ起きてしまったのかから、戦場で何が起きているのか、日本を含めた世界にどんな影響を及ぼすのかまでを考察した軍事研究者による新書だった。

なぜ起きたか、何が起きているか

その本は小泉悠『ウクライナ戦争』(ちくま新書)。開戦に先立つ1年前から2022年9月までの動きを追いながら、戦争への道がどのように展開していったか、戦況がどのように推移していったかを描き出す。その上でこの戦争をどう理解すればいいのか考える一冊だ。著者の小泉悠氏はロシアの軍事・安全保障の研究者で、東京大学先端科学技術研究センター講師を務める。22年2月の開戦以降、多くのメディア、テレビでコメントしているから知っている人も多いだろう。

「はじめに」によれば、本書が立てた問いは「これだけの戦争が何故起きてしまったのか。それは本質的にどのように戦争であるのか。戦場では何が起きており、日本を含めた今後の世界にどのような影響を及ぼすのか」である。

連日の報道でわかったような気になってしまうウクライナ戦争だが、専門家が改めてデータや報道をあたり直し、開戦半年までの経緯をたどることでいろいろなことが整理されて見えてくる。とりわけ最後の第5章で展開される「この戦争をどう理解するか」というテーマは、これからの世界秩序の中で日本の安全保障をどう機能させていくか、その前提に立って日本のビジネスパーソンは何を織り込んで動くべきかに大きな示唆を与えてくれる。

ドローンや衛星通信システムなど多くのテクノロジーが駆使されたにもかかわらず、「村落の取り合い、機甲戦力による大規模な突破、航空機による近接航空支援や阻止攻撃、兵站(へいたん)の鍵を握る鉄道への攻撃などは、80年前の戦争をそのまま再現しているようでさえある」と著者は指摘する。

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