主にシチリア西部で食べられる手打ちの「ブジアーテ」(料理提供 バッバルーチ)

日本で手に入るシチリアのブジアーテ

さて、乾燥パスタのなかでも珍しい形で、現在、日本でも売られているシチリアの歴史あるパスタをご紹介しよう。

かつては葦(あし)という植物の茎に巻きつけ、のちに針金や編み棒に巻きつけてつくるようになった「ブジアーテ」。形は管状に近い。主にシチリア西部でつくられ、地名からとった「トラーパニ風」とよばれるアーモンドのソースで食べる。パスタの独特の形状から、ソースがからみやすい。

カンポ社製の乾燥パスタの「ブジアーテ」(500g)。輸入元は光が丘興産で、オンラインショップ「ルッコリーナ」にて、参考小売価格1296円で販売

森シェフもたまには使うという乾燥パスタの「ブジアーテ」。製造元はシチリア西部トラーパニ県エリチェにある「パスティフィーチオ・アルティジャナーレ(手作りパスタ製造所)・カンポ」で、1928年創業、製粉所から始まった。エリチェの丘に畑をもち、無農薬で小麦を栽培。水は地元の天然水を使っている。成形したパスタは低温で32~36時間かけて乾燥させる。

森シェフにシチリアで一般的な「カジキマグロとナスとアーモンドのブジアーテ」のつくり方を聞いた。大きさをそろえて角切りにしたカジキマグロとナスを熱したオリーブオイルで炒め、みじん切りのニンニクを加える。砕いたローストアーモンドとパスタの茹で汁を加え、茹であがったパスタを加えて混ぜる。

カンポ社製の乾燥パスタの「ブジアーテ」。シチリアらしいカジキマグロとナスとアーモンドを合わせて(料理提供 バッバルーチ)

かつて乾燥パスタにも郷土色があったが、いまではイタリア全国はもとより、日本でも手に入る乾燥パスタの種類は多い。「この乾燥パスタならこのソースで」と組み合わせを頑としてゆずらないイタリア人も多い。乾燥パスタの弾力ある歯ごたえと、ソースとの相性をかみしめたい。

(イタリア食文化文筆・翻訳家 中村浩子)

中村 浩子
イタリア食文化文筆・翻訳家。東京外国語大学イタリア語学科卒。イタリアの新聞社『ラ・レプブリカ』極東支局長助手をへて、文筆・翻訳へ。著書に『イタリア薬膳ごはん』(共著)『「イタリア郷土料理」美味紀行』、訳書に『イタリア料理大全 厨房の学とよい食の術』(共訳)『スローフード・バイブル』。

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