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新興企業ながら機関投資家として存在感を増してきたハヤテインベストメントは、杉原行洋氏(44)が27歳の時に設立した会社だ。その若さで起業し、業界に確固たる地位を築けた背景には、新卒で入ったゴールドマン・サックス(GS)証券、その後転職した投資顧問会社での圧倒的な学びがあった。起業から15年余りたった今、グループの事業は人工知能(AI)研究などディープテック領域にまで広がっている。その挑戦の軌跡と、目指す先にあるものとは。

スポーツみたいで楽しかった

東大文学部在学中にネット広告配信事業で起業しようとしたものの、大手企業が同様のビジネスを開始したことで計画は頓挫。杉原氏は、将来の再挑戦を心に誓い、ゴールドマン・サックス証券に入社した。

配属されたのは「花形」と言われる株式トレーディング部。一瞬の判断で巨額の利益や損失が生じる厳しい世界だが、臆することはなかった。もともとすべて理詰めで考えないと気が済まない質で、中学生の頃から株式投資ゲームにも親しんでいた。大学生になってからは当時登場し始めたオンライン証券でいち早く口座を開き、携帯向けネット接続サービスのiモードで株を売買。アジア通貨危機の際には、コツコツためてきたお年玉をすべて株式に投じて勝負し、得た利益でバイクを買い北海道を一周したこともあった。

専門用語が飛び交う会話にも最初から難なくついてくる新人に、先輩たちは「じゃあ次はこれをやってみて」とより高いハードルを課した。その当時のことを杉原氏自身は「まるでスポーツみたいで非常に楽しかった」と振り返る。スポーツには幼い頃から親しみ、特に仲間と共に戦う集団競技が好きだった。小学校は野球、中高時代はバスケに熱中し、大学1年時はアメフト、その後は再びバスケ、社会人になってからはサッカーを楽しんできた。

「株式の世界は、全世界のプレーヤーとマーケットのルールに従って戦う知的スポーツのようなものです。自分の成績が0.001%の単位で正確にわかるのもトップアスリートと同じ。一切の言い訳が通用しない残酷な世界でもありますが、そういうのが性に合っていたんだと思います。株式トレーディングはチームプレーでもあり、その点でも集団競技が好きな自分にフィットしていました」

GSでは先輩に混じって1日で数十億から数百億円が動くトレードを担当。通常、市場が閉まると新人は割り振られた雑用にとりかかるが、杉原氏は堂々とコピー室に直行し、1時間以上各紙の夕刊を読みふけった。『アスリートと同じく、ルーティーンによって体と心のバランスを取ろうとしていた。でも周囲からは、『1年目のくせに』と思われていたかも」と振り返る。そんな規格外の新人は2年目にして、国内の投資顧問会社からスカウトの声をかけられることになる。

ハヤテグループ代表 杉原行洋氏

ハヤテグループ代表 杉原行洋氏

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