「絵を描く」文化を受け継ぐ

サクラクレパスは画材そのものの使い方や魅力を伝えていく、地道な取り組みにも力を入れている。対象は大人も含めた幅広い世代だ。

「サクラアートミュージアム」(大阪市)は1991年、創業70周年記念事業の一環として、本社に併設された美術館だ。同社が事業を通じて関わってきた大正期以降の著名画家の作品が収蔵されている。

コレクションの中には、クレパスを用いた作品もある。クレパスというと、どうしても子供向けの印象が強いが、その風合いは油絵に似ているとよくいわれるそうだ。

「戦争中に油絵の具が手に入りにくくなったときには、プロの画家がクレパスを使って作品を発表することも多かったんですよ」(大塚氏)

100周年の「クーピーペンシル100色セット」

同館では絵画作品を鑑賞できるのはもちろん、同社の製品がたどってきた歴史にも親しめる。「絵を描くことそのもの」の楽しさを多くの人に伝え、文化として定着させていく試みは結果的に製品への息の長い需要につながっていくだろう。

「アマチュアの皆さんが自分の作品を発表する機会として、絵画コンテストも開催しています。大阪と東京の2拠点に設けた絵画教室『サクラアートサロン』では、プロの画家がクレパスによる絵の描き方を教える講座も実施しています。画材を売るというだけではなく、それを使った先にある楽しみや喜びまで、ユーザーのもとへ着実に届けていきたい。そうした思いは、社員がクレパスを風呂敷に包んで『実演営業』して回っていた20年代ごろから、ずっと受け継がれてきていると感じます」(大塚氏)

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