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コロナ禍で増える暴行 今も続く女性CAの闘い

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

先日、米国の格安航空会社(LCC)のフロンティア航空で、フライト中に泥酔して暴れた男性の乗客が、座席にダクトテープで固定されるという事件があった。この男性は2人の女性客室乗務員(キャビンアテンダント、CA)の体を触り、1人の男性客室乗務員を殴ったため、乗務員たちは残りの旅程の間、彼を拘束した。

新型コロナウイルス感染症の世界的大流行が始まって以来、米国では客室乗務員に対する暴行が急増している。2021年、米連邦航空局は5981件の暴行を確認した。マスク着用義務に対する怒りやパンデミックによるストレスが、客室乗務員に対する身体への、そして言葉での暴力をあおっている。

しかし、乗客が客室乗務員を見下し、逆らい、時に身体を触るような行為はいまに始まったことではない。むしろ50年前には航空会社の黙認のもと、しばしば行われていた。勇敢な「スチュワーデス」たちは、独創的な方法で反撃し、今日まで続く客室乗務員による活動の火付け役となった。

新刊『The Great Stewardess Rebellion(スチュワーデスたちの偉大な反乱)』の取材中、私は客室乗務員業界の進化と革命について多くを学んだ。以下に紹介するように、彼女らの物語に驚かされ、その強さとフェミニズムに刺激を受けた。

先行した「エア・ストリップ」キャンペーン

1970年代、米国の航空会社は巧妙なマーケティング戦略を次々に打ち出した。安全性でも目的地でもなく、スチュワーデスを売りにしたのだ。

まずは、スチュワーデスに露出度の高い制服を着させた。サウスウエスト航空はオレンジ色のホットパンツに白いロングブーツ。アメリカン航空はタータンチェックのミニスカートに、しっぽのついた毛皮のラクーンハット。トランスワールド航空は紙でできたドレスをデザインした。

その後、スチュワーデスたちを前面に押し出した広告を展開。ナショナル航空は「フライ・ミー」キャンペーンで実際の客室乗務員を起用し、「私はリンダ。私を飛ばせて」といったコピーで大成功を収めた。コンチネンタル航空のコピーは、「私たちはあなたのためにしっぽ(尾翼)を振ります」 だった。

先行していたのはブラニフ航空で、1965年に「エア・ストリップ」キャンペーンを開始した。これは、女性客室乗務員がシャーベットトーンの制服で飛行機に乗り込み、機内で徐々に衣服を脱いでいくというものだった。離陸直前にコートのファスナーを開け、ブラウスとスカートが見えるようにする。夕食の配膳が終わると、スカートの前を開け、ブラウスを脱いで、ブルマとタートルネックの組み合わせを見せる。

「空のバニーガール」的なアプローチを好んだ客は多かった。しかし、広告が卑猥(ひわい)になればなるほど、そして制服の露出度が高くなればなるほど、客室乗務員は体を触られ、つねられ、見下されるようになった。1967年には、あるスチュワーデスが緊急避難を指示していたところ、男性乗客が彼女を抱え上げて飛行機から運び出し、「君はここにいるべきではない」と言い放った。

1970年代半ばには、コンチネンタル航空の幹部が、出発する男性乗客の頬に女性客室乗務員がキスをしなければならないと定めた。

また1970年に導入されたボーイング747型機の多くは、らせん階段を上がった2階にカクテルラウンジを備えていたため、飲み過ぎた乗客は、火のついたタバコを通路に落としたり、階段から転げ落ちたりした。客室乗務員の抗議によって、間もなくアルコール規制は復活した。

客室乗務員が反撃「自分で飛べ!」

1972年、乗客の行動や、航空会社のきわどい広告と安っぽい制服に腹を立て、「女性の権利のために闘うスチュワーデス」と名乗る女性グループが反撃に出た。性差別的なキャンペーンを行ったニューヨークの広告代理店の前で、デモ行進を行ったのだ。

「航空会社は、私たちを性の対象として仕立て上げます」。創設者の1人であるサンドラ・ジャレルさんはロサンゼルス・タイムズ紙にそう語った。「私たちを洗脳し、それを受け入れさせ、それが当然だと思わせる。そうして私たちは徐々に自尊心を失っていく......。乗客が私たちをプロフェッショナルとして扱わないから、自分でも自分をそう扱わなくなってしまうのです」

グループは特に、「Fly Me(私を飛ばせて)」というコピーが含意するものを嫌って、「Go Fly Yourself!(自分で飛べ!)」と書かれたプラカードを作成した。また、スチュワーデスを性の対象として扱うことが、いかに乗客を危険にさらすかを示すコマーシャルを制作し、放映した。

コマーシャルの1つでは、スチュワーデスの制服を着た俳優が、カメラを直視して以下のようなメッセージを伝えた。「私は高度な訓練を受けたプロフェッショナルで、大きな責任を負っています。緊急事態が発生した場合、すべての乗客からの敬意と信頼、そして協力が直ちに必要です。正直に言いましょう。『セクシーなスチュワーデス』というイメージは、どんな高度においても安全ではありません!」

グループは安全のプロとして扱われる法的権利を求めて運動し、客室乗務員を免許制にするよう何年もかけて米国政府に働きかけた。1972年から1976年にかけて、「女性の権利のために闘うスチュワーデス」は、スチュワーデスを頭の悪いピンナップガールとして描くコマーシャルを流している企業へのボイコットを組織した。一方で、スチュワーデスが堅実にスノータイヤを選ぶ姿を広告にしていたファイアストン社は、賛同の手紙を受け取った。

彼女たちは、マスコミに自分たちの努力を知らしめた。「女性の権利のために闘うスチュワーデス」は、見出しとして魅力的だった。

闘いはまだ続いている

ホットパンツと 「フライ・ミー」の時代は過ぎたが、性的なイメージはまだ残っている。中には昔ながらの単純な性差別もある。男性「スチュワード」が米国の国内線で仕事をし始めたのは1970年代初めになってからで、現在でも客室乗務員のうち男性は20パーセントにすぎない。

しかし、客室乗務員に対し敬意を求める数十年の闘いは、結果を残している。1989年、連邦法により初めて職場における喫煙が規制された。2003年には、9.11のテロ事件によって航空保安の見直しが行われた後、ついに連邦議会を説得し、安全のプロとしての免許が制定された。

そして今日も、客室乗務員たちは乱暴な乗客への対抗を続けている。パンデミックの際、航空会社からほとんど何の支援も得られなかった客室乗務員たちは、組合に支援を要請。米国最大の客室乗務員組合である客室乗務員協会は、すべての航空会社が共有できる禁止乗客のリストを作成するよう、米国議会に要請した。

このように乗務員たちは、世間が自分たちをどのように扱うかについて積極的にメディアに語り、護身術の講習に励んでいる。1970年代の客室乗務員は体を触ろうとする乗客をかわす方法を学んだが、2020年代の客室乗務員が米国航空保安局で教わるのは、パンチ、引っかき、目つぶしなどの防御技だ。

以前と同様、酒類は問題になっている。「飛行機内での暴力事件は手に負えませんし、アルコールが一因であることもよくあります」。客室乗務員協会のサラ・ネルソン会長はワシントン・ポスト紙にそう語った。ネルソン会長は国内線でのアルコール販売禁止の陳情に成功し、過去2年間の大半はそれが守られてきた。しかし、ファーストクラスではすぐに酒類の提供が復活し、エコノミークラスでも最近復活し始めている。

今日の客室乗務員に対する暴行は気になるところだが、いまだに彼らを、乗客の気まぐれを満足させるための使い捨ての人形だと捉える人はほとんどいないだろう。客室乗務員は先人たちの足跡をたどり、組合や報道、立法、ストライキなどの方法で闘っている。

それでもダメなら、ダクトテープの出番だ。

(文 NELL MCSHANE WULFHART、訳 桜木敬子、日経ナショナル ジオグラフィック)

[ナショナル ジオグラフィック 日本版サイト 2022年4月4日付]

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