高校で一番嫌いだったのは国語の授業で、生徒に順番で「教科書を音読させる」というものでした。吃音がある高校生にとって、自分の順番にまわってくるのが、いかに恐怖だったのか、想像できる方は少ないでしょう。いまでは、クラウドでソフトウエアを提供する「SaaS(サース)」による音読サービスもあります。

吃音が得なこともあります。吃音になりにくい言語が好きになるのです。私の場合には、それが英語でした。なので、ひたすら英語を学習しました。「英語の音読」では吃音が出ませんでしたから、英語では弁論会の代表にも選ばれました。いまではAIによる自動翻訳があり、吃音を持つ者にとっては、ものすごくありがたいことです。

誰もが理解しやすい解決策

高校3年になると、数学と英語は独学で終えていたので、ひたすら、数学の問題を「フォーマット」で解く、ということに挑戦していました。公式を100個つくり、いつでも好きなときに最適な公式を思い出す――。それは、難問であればあるほど、障壁となっている部分を抽出し、誰もが理解しやすい解決策を思いつき見える形(それをフォーマットと呼んでました)にしていく私独自の作業でした。その「精度」と「速度」を増していくことに注力しました。吃音があったので、できることといえば、そんなことくらいだけでした。

このように、私の生い立ちには、交通事故をきっかけにした「吃音」があったことで、自然に脳内で「ディープラーニング」「リコメンド」するようになり、「マルチ言語」に加え、音楽や美術といった「リッチコンテンツ」を好きになっていったという背景があります。また、情報入手の手段も何もなかった田舎生まれだったことも、ITへの強い関心を育む素地となったように思えます。

これから12回にわたって、コラムを連載させていただきますが、まず、最初に自己紹介として、私の原点を紹介させていただきました。

鈴木吉彦
1957年山形県生まれ。83年慶大医学部卒。東京都済生会中央病院で糖尿病治療を専門に研さんを積む。 その後、国立栄養研究所、日本医科大学老人病研究所(元客員教授)などを経て、現在はHDCアトラスクリニック(東京・千代田)の院長として診療にあたる。

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