卒業旅行でアフリカへ スラム体験が原点に

大学の卒業旅行にケニアを選んだ。一生行かない場所に行き、一生できない経験をしたい、というチャレンジ精神にあふれた旅を計画した。子供時代に図書館で目にした異国の民族文化への興味。黒人音楽のクールさやアフリカのアスリートの驚異的なパフォーマンスへの憧れ。それらがリンクして赴いたアフリカの地で、衝撃を受けた。

「ケニアのマサイ人の家でホームステイをしたのですが、アフリカでも2番目に大きいスラムがあり、200戸の家族に1個のトイレしかないような場所で、あたりはゴミの山だらけ。そこで生活したことが今の自分の原点です。何かを一生かけてやっていきたいなと、シンプルに思ったんですね」

明るいアフリカの伝統柄を使った「CLOUDY」の雑貨に負けない銅冶勇人さんのはじける笑顔(東京都渋谷区の「CLOUDY 渋谷Miyashita Park店」で)。スーツはシルエットにこだわった「QUINTESSENTIAL」コレクション。豪州産のスーパー120’S原毛を使用した奥行きのあるネイビーの生地(ポール・スチュアート、オーダー価格14万8500円) 時計は4時位置にリューズを配し、モダンで高級感あるたたずまいのスポーツモデル。文字盤はスーツにリンクするミッドナイトブルーだ(グランドセイコー スポーツ コレクション SBGJ237、79万2000円) 撮影:筒井義昭

貧困問題を解決するという思いを抱きながら、金融大手のGSに入社。決め手は面接で出会った社員のアグレッシブな姿勢が心に響いたからだ。

「採用面接だけで70回。学生が面接で大勢の現場の人と対話できる会社など、どこにもありませんでした。感じたのは、全員がそれぞれの部署やGSという会社が絶対1番になる、という強い意志を持っていること。ここで働けば自分は絶対に成長できると確信しました。その思いに裏切られたことはなくて、本当にすごいスピード感で仕事をして、ビジネスに対するコミットはすさまじいものがありました」

「社会人1年目に全世界の同期がニューヨークで研修するのですが、英語が苦手だった僕は試験で史上最低点を出して落ちてしまいました。クビを覚悟していましたが、上司が『これ以上試験を受けなくていい。他で頑張りなさい』って言ってくれたんです。その女性ボスは5年後に若くして亡くなりました。彼女が残してくれた『他で頑張りなさい』というメッセージは、不得意なことを努力し続けるのではなく、別のどこかで一生懸命頑張れば認めてもらえるかもしれない、諦めるんじゃないということ。ずっと大事にしている言葉です」

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