社員レベルでも必要なチェンジ・リーダー
そんな組織の中で力を発揮するリーダー像がチェンジ・リーダーで、組織や社会を「多様性+全員参加」へと導いていくことが求められるという。そうしたリーダーシップを獲得するにはどのように行動すればいいのか、どんな心構えが必要か、具体的な行動や考えるためのフレームワークを示しながら読者に提示していく。
チェンジ・リーダーの必要性は何も社長や経営層に限ったものではない。4章では社員としていかに生きるべきかがキャリアづくりの視点から示されていく。さらにそのために必要なスキル、その磨き方も最後の5章で描かれる。要は新入社員であってもチェンジ・リーダーを意識して自らのスキルや働き方を見直し、全員参加と多様性を実現するキープレーヤーになる必要があるのだ。経営層や管理職層より、若いビジネスパーソンにとってこそ、大いに参考になりそうな本だ。「入荷直後の1週間で大きく売れた。読者の反応が速かった本」と店舗リーダーの河又美予さんは話す。
未来を考える本が息長い売れ筋
それではランキングを見ていこう。今回は10月の月間ランキングを取り上げる。
(1)CHANGE LEADER | 中村基樹・西村聖司・河上祐毅著(クロスメディア・パブリッシング) |
(2)「会社四季報」業界地図 2022年版 | 東洋経済新報社編(東洋経済新報社) |
(2)日経業界地図 2022年版 | 日本経済新聞社編(日本経済新聞出版) |
(2)2050年のジャーナリスト | 下山進著(毎日新聞出版) |
(2)2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ | ピーター・ディアマンディス著(ニューズピックス) |
(リブロ汐留シオサイト店、2021年10月1~31日)
1位を除くと4冊が同数で並ぶという上位5冊は、3冊までが先月と同じ顔ぶれで、新刊への反応が鈍い状況が続いていることを映し出す。その中で2位を大きく引き離して1位で食い込んだのが今回紹介したリーダーシップ論だった。4冊が並んだ2位のうち2冊は業界研究ムックの最新版。先月は1位と3位で、8月後半の発売から息長く売れ続けている。
残る2冊に2030年、2050年という未来の年がタイトルに入った本が並んでいるのが目を引く。2050年の方は先月にこの書店を訪れたときに「地殻変動するメディアの今 地方紙や黒子の動きを活写」の記事で紹介した時事コラム集で、時々のメディアの動きから未来のジャーナリズムを考える。これも2カ月続いてのランキング上位入りだ。2030年の方は1月に本欄「2030年と2040年 日米2つの予測本が指し示す未来とは」の記事で紹介した未来予測本。刊行は20年12月で、1年近く売れ続ける売れ筋になった。未来予測への関心は根強いようだ。
(水柿武志)