デロイトが新人に贈る本に込めた「大いなる反省」

デロイトトーマツコンサルティングで採用や人材育成を統括する長川執行役員
人気企業・注目企業が新人教育で使ったり、新入社員に推薦したりしている書籍と、各社の人材育成戦略を取り上げるシリーズ「社会人1年目の課題図書」。第15回はデロイトトーマツグループです。

監査・保証業務からコンサルティング、税務・法務など5分野にまたがってビジネスを展開するデロイトトーマツグループ(東京・千代田)。傘下のデロイトトーマツコンサルティング(DTC)は、クライアントの戦略立案から実行までを一気通貫で支援する総合コンサルだ。

同社で採用、育成、キャリア開発を統括する執行役員で、チーフ・ピープル・エンパワメント・オフィサー(CPEO)の長川知太郎さんによると、DTCではコンサルタントに内定した人に15冊の推薦図書を配布している。中でも特に人材育成策と深く関わるのが『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0』(日本経済新聞出版)と『新版 考える技術・書く技術 問題解決力を伸ばすピラミッド原則』(ダイヤモンド社)の2冊だ。

離職率高止まりに危機感

『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』は2年前から新たに推薦図書に加わった。同社は2019年に佐瀬真人社長が就任したのを機に「クライアントファースト」から「メンバーファースト」へと経営方針を大きく転換。人材育成も同書が光を当てる「強み」重視に変わった。

『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0』
著:トム・ラス
出版:日本経済新聞出版
多くの人は欠点の克服に時間を割いているが、才能を開花させるには「強み」に注目すべきだと説く。「ストレングス・ファインダー」は強みを見える化するツールで、「ポジティブ心理学の祖」と呼ばれる米国のドナルド・O・クリフトン博士が開発した。巻末のアクセスコードを使ってウェブテストを受けると「学習欲」「共感性」「着想」など全部で34種類ある資質の中からその人に特徴的な資質トップ5がわかる。本書ではそれらをどう生かし、磨いていけば「強み」になるかを解説している。

長川さんは、経営と人材育成の方針転換の裏には、自分たちが当たり前としてきた組織文化への反省があったと話す。

「それまではプロフェッショナルとは『かくあるべし』という確固とした像がありました。端的に言えば、目の覚めるような提案を考えることができ、わかりやすい資料を作れて、かつクライアントの心を打つプレゼンができる人です。さらに、我々は世の中をよりよくするために常に『クライアントファースト』であるべきで、徹夜が続こうとプライベートライフが犠牲になろうと致し方ないという暗黙の了解もありました」

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