Men's Fashion

音楽もスタイルも粋だった YMOの高橋幸宏氏

@ニュースなルック

コラムニスト いであつし

2023.2.25

本社

高橋氏は1970年代からYMOなどで世界的に活躍した

2023年1月11日、ミュージシャンの高橋幸宏氏が亡くなられました。訃報を知り、音楽業界やファッション業界、芸能界と幅広いジャンルの各界の著名人から多くの追悼のコメントや悲しみのメッセージがSNS(交流サイト)を通じて寄せられた。改めて、日本を代表するクリエーターであり、音楽家であった高橋氏の偉大さと影響力がわかる。




高橋氏といえば、やはりイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)である。1980年代にリアルタイムで「ライディーン」や、くしくも後を追うように亡くなった鮎川誠氏のシーナ&ロケッツも参加していたアルバム「スネークマンショー」を聴いていたYMO世代の筆者などは、ビートルズのジョン・レノンが亡くなった時以来のショックであった。汗ひとつかかずに淡々とドラムをたたく、クールでおしゃれなドラマーの高橋氏はYMOではジョンというよりも、同じドラマーでクールで抜群におしゃれだったローリングストーンズのチャーリー・ワッツのような存在だった。

東洋風のおしゃれでYMOデビュー

細野晴臣氏、坂本龍一氏、高橋氏という3人の天才音楽家が78年に結成したのがYMOだ。無機質なピコピコ音を奏でるシンセサイザーを駆使したテクノサウンドと東洋風のおしゃれなコスチュームで、デビューするなり海外でもその名を知られて一躍世界的なテクノグループとなり、80年代にテクノブームを巻き起こした。

細野氏がYMOを結成するときに参考にしたというドイツの「クラフトワーク」のほか、米国のデイヴィッド・バーンの「トーキング・ヘッズ」やキッチュでパンクな「ディーボ」など、70年代後半〜80年代前半にかけてテクノミュージックシーンは世界的に盛り上がりを見せていた。とりわけ、なかでもYMOほどファッションに通じていたテクノグループはない。ファッションなんて二の次でどうでもよろしかった日本の音楽業界で、YMOはファッションと音楽をイコールにした初めてのミュージシャン(高橋氏もメンバーだった加藤和彦氏のサディスティック・ミカ・バンドは例外だが)ではないかと思う。