雑誌『日経エンタテインメント!』で2013年から掲載されている『新・ももクロ61分3本勝負』は、アイドルグループ・ももいろクローバーZとグループの生みの親である川上アキラマネージャーによる人気連載です。21年末に川上さんの言葉とこの連載で20年、21年を振り返る書籍『ももクロ流 2020-2021』が発売されました。その発売を記念して、NIKKEI STYLEにその“延長戦”を掲載します。話を聞くのは川上マネージャー、そして“あーりん”こと佐々木彩夏さんです。[※インタビューは21年12月下旬に行いました]

ライブができなかったからこそ生まれた“挑戦”
――21年末に発売された書籍『ももクロ流 2020-2021』は、思うようにライブができなかった2年間を川上さんの言葉と2年間の連載で振り返る単行本です。改めてこの2年間について話を聞かせてください。どんな2年間でしたか?
佐々木 うーん、模索の年だったと思いますね。それはみんな同じだと思うんですけど。どうしたらいいか分からない、何が正解か分からないなかで、「ライブをやりたい」という気持ちだけでなんとかもった2年だったので。
私も体調を崩したり(21年7月に「右末梢《まっしょう》性顔面神経まひ」で入院。記事「ももクロ佐々木彩夏 今年のソロコン、やり直しの連続」参照)、メンバーが新型コロナウイルスに感染したり、ももクロがコロナ禍前に過ごしてきた12年にはなかったことが多かった、波瀾(はらん)万丈な2年間でした。
でも、いろいろな挑戦をした2年でもあったと思うんです。自粛期間中の動画配信もそうだったし、ライブができなくなってメンバーがそれぞれ出たことがないジャンルのテレビ番組に出るようになったし、グループとしての配信ライブでもいろいろなことに挑戦したし。それまで当たり前だったことができないようになったなかで、できることを探して挑戦した2年だったと思います。
川上 “挑戦”っていい言葉ですね。彼女の言うとおりだと思います。どうすれば先に進めるか、そのためには今、何をしなくちゃいけないかを模索し挑戦し続けた2年でした。ただ、まさか「ライブの意味」をここまで深く考えることになるとは思ってもいませんでしたねえ。それまで考えたことすらなかったから。
佐々木 やりたいからやっていたんだよね(笑)
川上 楽しいからやりましょうと、みんなと一緒にやっていたのが、「こういうことをやっていいのか」と真剣に考える世の中になるとは思ってもいなかったよなあ。
個々の考えは違っても「ももクロ」としての決断は同じ方向
――そういった方向性については、メンバーと話す機会が増えたと川上さんは『ももクロ流 2020-2021』で語っています。
川上 何度か話しましたよね。いろいろなターニングポイントがあったタイミングで。
佐々木 確かに、話しました。でも逆に今までが話さなさすぎだったと思うんですけど(笑)。
川上 そんな少なかった?