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eスポーツ、引退したプロと企業をマッチングする狙い

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NIKKEI STYLE

日経クロストレンド

eスポーツのプロシーンでしばしば話題になるのが、プロ選手の「セカンドキャリア問題」。Cygames(東京・渋谷)は2022年から対戦型オンライントレーディングカードゲーム『Shadowverse』のプロリーグ「RAGE Shadowverse Pro League」の選手を対象に、引退後のキャリアを支援するプログラムを開始した。その狙いを同社と実際に選手を受け入れた企業に聞いた。

日本でもeスポーツが定着し、各ゲームタイトルのプロ選手の活躍が目立つようになってきた。その一方で、課題とされるのがプロ選手のセカンドキャリア問題だ。

全体に年齢層が低いeスポーツの世界では、若くして引退を迎えるプロ選手も少なくない。だが、次のステップに向けて職を探そうとしても、年齢的に新卒として扱われるのは難しく、転職しようとしても、プロとしての活動が職歴として扱われるかどうかは不明確。引退後の就職先はめどが立たないのが実情だ。そういった現状を受け、1年ほど前から、プロ選手のセカンドキャリア確立を支援するいくつかのプログラムが動き出している。

Cygamesが始めた「セカンドキャリア支援プログラム」もその1つだ。同社が運営する『Shadowverse』のプロリーグ「RAGE Shadowverse Pro League」(22年度から「RAGE SHADOWVERSE PRO TOUR」に名称を変更)に所属する選手を対象とした施策で、引退後、就職を希望する選手と、同プログラムに参画する企業・団体をマッチング。選手がその経験を生かして働ける場を見つけるサポートをする。

今回、このプログラムを活用する第1号が現れた。元NTT-WESTリバレント所属のSurre(サレ)選手こと森谷祥真氏だ。同プログラムに参画している、システム開発などを手掛ける企業Sekappy(セカッピー、東京・港)に22年4月に入社した。

選手が活動に集中できる環境を

同プログラムを始めた理由について、Cygamesマーケティング本部eスポーツ室マネージャーの川上尚樹氏は、セカンドキャリアへの不安が選手活動に与える影響を挙げる。

「(18年に)『Shadowverse』のプロリーグが発足し、かなりの数の選手がプロ選手としてチームに参加してくれました。発足から3~4年もたつと選手の入れ替えも多くなり、引退の話も出てきます。『Shadowverse』は他のeスポーツタイトルよりも選手寿命は長い方だと思いますが、それでもプロとしてずっと活動できる選手は数少ない。将来への不安はどうしても付きまとうものだと思います。その不安を取り除き、選手としての活動に集中してもらうためにもセカンドキャリア支援プログラムが必要だと感じていました」

現在、eスポーツを引退した後の活動として考えられるのは、ゲーム動画配信のストリーマー(配信者)や大会の解説者などプロ活動が生かせるものだ。プロeスポーツチームのコーチやチームのスタッフ、eスポーツ大会の運営スタッフなどもそうだろう。ただし、ストリーマーや解説者は、一部のスター選手のみができる仕事であり、コーチやスタッフの枠も限られている。世間一般にも、eスポーツ選手はつぶしがきかない、将来は不安定という認識がある。

「そんな中で、プロ選手が『Shadowverse』に人生や生活のリソースをどれだけ割いてくれたのかと考えると、引退後について少しでも力になれるようにしたかった」と川上氏は言葉を継ぐ。

加えて、『Shadowverse』のプロリーグが定着する中で、Cygamesとしてプロ選手のセカンドキャリアを支援するだけの環境が整ってきたこともあるだろう。リーグを通じ、Cygamesはeスポーツ関連企業やPCメーカー、eスポーツ活動に力を入れている企業などとのつながりを増やしてきた。また、大会やイベントにかかわるプロ選手と接する中で、選手たちの分析力や思考力、集中力、コミュニケーション能力などが高いことも知っている。企業と選手の両方を見てきたからこそ両者をつなぐことができる、それであれば、Cygames自身がそのマッチングを行えばいいという考えに至ったようだ。

セカンドキャリア支援プログラムが常態化し、多くの選手が利用するようになれば、プロ選手が安心してプロ活動を行えると同時に、プロ選手を目指す次世代やその親に安心感を持ってもらうことにもつながるだろう。

実際、『Shadowverse』の世界大会である「Shadowverse World Grand Prix」で優勝し、1億円以上の賞金を獲得したふぇぐ選手やkakip(カキピー)選手も、プロ選手を目指すことに対して親の同意をしばらく得られなかったという。プロ選手を引退した後、就職するための支援プログラムがあることが、プロ選手を目指すための説得材料となり得る可能性はある。

受け入れ企業のメリットは?

Cygamesのセカンドキャリア支援プログラムに賛同し、今回森谷氏の就職先となったSekappyの取締役COO、志村一郎氏にも、同プログラムを利用した理由や経緯を聞いた。

前提として述べておくのは、企業として、このプログラム専用の受け入れ枠があるわけではないということ。企業は一般に、就職/転職サイト、自社の公募サイト、エージェントなどを活用し、日々採用活動を行っている。セカンドキャリア支援プログラムに参画する企業にとって、同プログラムはそこに新たに加わるルートの1つ。他の応募者なら、学生時代の活動や前職の業務などで培った能力や経験が評価の対象となるように、同プログラムに応募する元プロ選手たちはプロとして培ったそれらが評価される。

その上で、志村氏がSurre選手を評価した点として挙げたのが「長年プロとしてeスポーツの第一線で活躍してきた選手だからこそ持つ、論理性や集中力」だ。

Sekappyは、もともと社員全員がカードゲーマーという特殊な環境のIT企業だ。企業文化や風土自体、ゲームと親和性が高い。ゲーム関連のシステム開発やコンサル事業、eスポーツイベントなども手掛けており、この分野の知見をSurre選手に求めている部分はもちろんある。だが、それだけではないとも言う。

「『Shadowverse』のプロシーンを見てきて、プロ選手の知見は企業にとって十分役立つものだという結論に達しました。プロとしての実績に裏付けられた論理性や集中力は魅力的です。加えて、Surre選手はチームリーダーも務めており、プロ選手としての真摯な活動も見ています。彼であれば、これまでと違う環境でも頑張ってくれるのではないかという印象を持ちました」

Sekappyは社員全員がカードゲーマーということもあり、Surre選手と一緒にプレーできることに喜びを感じ、社員に歓迎されているという。「そういう意味でも社内の刺激になりました」と志村氏。社員としての戦力とプロゲーマーとしての実績や存在感が同居している点は、このセカンドキャリア支援プログラムならではの事象といえるだろう。

Surre選手はプロリーグではチームリーダーとしても活躍し、『Shadowverse』の数々の大会でも成績を残したトッププロだが、今後セカンドキャリア支援プログラムを利用する人に「そういった輝かしい実績が必ずしも必要なわけではない」と志村氏は話す。プロでの活動経験は、成績のみではなく、その過程で人間性や社交性、社会人として必要な要素を培い、持ち合わせているかをしっかりと見る。さらに、その適性によって、部署の配置も考えるという。

「Sekappyでは、エンジニア職とビジネス職の2つの職種で人員を募集しています。今回、Surre選手が採用されたのはビジネス職。本人の特性とやりたいことを考慮し、マーケティング部で広報活動やイベントの運営などを担当してもらう予定です」(志村氏)

プロゲーマーとしての実績や認知があるSurre選手が、企業の顔でもある広報になるのは、確かに適所といえそうだ。Surre選手には、SNS(交流サイト)や動画配信プラットフォームのフォロワーの数も多い。情報発信や動画配信のノウハウも持つ。その知名度も今後生かしていくのだろうか。

これに対し、志村氏は「そういう考え方もあるでしょう。ただ、Surre選手の知名度や発信力のみに期待するのであれば、社員として採用しなくても、スポンサーになるなどやりようがあります。Surre選手を採用したのは、Sekappyの社員として(情報発信に限らず)さまざまな面で活躍できることを期待しているからです」。

今後、こうしたケースが増える可能性は十分にある。eスポーツが社会に浸透しつつある現在、多くの企業がeスポーツに関心を持ち始めている。eスポーツ事業を立ち上げたり、スポンサーとして支援したりする企業が増える半面、eスポーツのことがわからず、道半ばで頓挫することも多い。そこにeスポーツの知見があり、現場の経験を積んだ元eスポーツ選手が入社することで、eスポーツ事業に参入しやすくなると考える企業もあるだろう。

セカンドキャリア支援プログラムは、その手始めとしてeスポーツ選手と企業をマッチングするのに有用なシステムとなり得る。Cygamesとしては、同プログラムの対象は「RAGE Shadowverse Pro League」の選手のみで、プログラム自体を新たな事業として展開する予定はないというが、モデルケースとして業界に浸透していけば、他のタイトルのeスポーツにも同様の動きが波及する可能性はあるだろう。eスポーツのセカンドキャリア問題解決への第一歩となるかもしれない。

(文 岡安学、編集 平野亜矢)

[日経クロストレンド 2022年5月30日の記事を再構成]

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