では、どうすれば行動も変えられるのだろうか。必要なのは継続的な取り組みだ。職場の日常的な場面で取るべき具体的な行動を学ぶ機会を提供するとともに、社内の制度・慣行が女性にとって不利なものになっていないか絶えず検証し改めなければならない[注2]。

同時に取り組むべきはデータ収集だ。賃金、採用、昇進、業績評価、仕事の割り当てといった日常業務における男女差を可視化するとともに、定期的に従業員のダイバーシティに対する認識を調べることで、常に現状の把握ができる[注3]。

人が行動を変えるのは容易ではない。だが、必ず変わることができる。トップが強い決意を示し、従業員をサポートする姿勢を明確にすることで、男女にかかわらず誰もが活躍できる組織に生まれ変わることができるのだ。

※出典 [注1]Edward H. Chang, Katherine L. Milkman, Dena M. Gromet, Robert W. Rebele, Cade Massey, Angela L. Duckworth, Adam M. Grant, "The mixed effects of online diversity training," Proceedings of the National Academy of Sciences Apr 2019, 116 (16) 7778-7783; DOI: 10.1073/pnas.1816076116
[注2]Gino, Francesca, and Katherine Coffman. "Unconscious Bias Training That Works." Harvard Business Review 99, no. 5 (September–October 2021): 114–123.
[注3]Bohnet, Iris. What works: Gender equality by design. Belknap Press of Harvard University Press, 2016.
山口慎太郎
東京大学経済学研究科教授。内閣府・男女共同参画会議議員も務める。慶応義塾大学商学部卒、米ウィスコンシン大学経済学博士号(PhD)取得。カナダ・マクマスター大学准教授などを経て、2019年より現職。専門は労働市場を分析する「労働経済学」と、結婚・出産・子育てなどを経済学的手法で研究する「家族の経済学」。著書『「家族の幸せ」の経済学』で第41回サントリー学芸賞受賞。近著に『子育て支援の経済学』。

[日本経済新聞朝刊2022年1月10日付]