変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック

写真はイメージ=PIXTA

写真はイメージ=PIXTA

職場の多様性を高める取り組みの一環として、ダイバーシティ研修を取り入れる組織は、ここ数年で急増している。しかし、こうした研修は本当に女性に対する偏見を減らし、組織の多様性を高める効果があるのだろうか。この点を科学的な手法で検証したのが米ペンシルベニア大学の研究チームだ。

この研究チームは、ある国際機関に勤める3016人の職員を対象に実証実験を行った[注1]。導入されたダイバーシティ研修は心理学者の手で科学的な根拠に基づいて設計されたものだ。研修は1時間程度で、参加者が無意識に持つ女性に対する偏見の度合いを測り、職場で男女とも平等に接するための方法が教えられた。効果検証のため、この研修への参加者はくじ引きで決められた。

検証の結果、ダイバーシティ研修の受講者は、女性に不利な慣行が存在することを認め、その改善策を支持するなど、問題に対する理解が深まることが確認された。中でも、女性に対する偏見が根強く残る部署では大きな改善効果が見られた。人間が己の偏見を正すことができるというのは、心強い結果だ。

同時に、ダイバーシティ研修の限界も明らかになった。意識・理解は改善されたものの、それらが職場での実際の行動には反映されなかったのだ。女性が職場内でインフォーマルにアドバイスを受ける回数は増えなかったし、社内表彰者に選ばれる女性も増えなかった。残念ながら、1回きりの研修で人の行動までは変えられないようだ。

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedo日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック