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ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測しているリブロ汐留シオサイト店だ。1月から土日の営業を再開したものの、新型コロナウイルス感染拡大の第6波の影響でなかなか売り上げに結びつかない。そんな中、コンスタントに売れ行きを伸ばしていたのは、ブランド開発などで多くの成果を上げているマーケターが次世代に向けてマーケティングは何ができるかについて思考をめぐらせた本だった。

考えるべき対象は市場・経済だけではない

その本は廣田周作『世界のマーケターは、いま何を考えているのか?』(クロスメディア・パブリッシング)。著者はテレビ局のディレクターや広告会社勤務をへて、2018年に企業のブランド開発を専門に手がけるHenge Inc.を設立したマーケター。英米などに幅広いネットワークを持ち、独自のブランド開発やリサーチ手法で多くの企業の戦略立案やイノベーションプロジェクトを手がけている。そんな著者が世界のマーケターの取り組みから「マーケティングの"新たな可能性"と"面白さ"を見つけたい」として書いたのが本書だ。

冒頭で著者はこのように述べる。〈マーケティングの最優先事項だった、消費者のニーズは見えづらくなり、逆にSNSを通じて企業のふるまいそのものが、消費者から見えるようになった時代、マーケターが考えるべき対象は「市場・経済」だけではなくなりました〉。そんな時代にマーケティングは何ができるのか、また何をすべきなのか。本書はその答えを世界中の企業やブランドの事例から探っていく。

第1章の初めに取り上げられるのは、「Fenty(フェンティ)」というブランドだ。米国の音楽シーンで活躍するリアーナ・フェンティが立ち上げたブランドで、美容ブランドとして広く支持されている。黒人の女性としてなぜ自分の肌に合うファンデーションが売られていないのか、という視点を持って、さまざまな肌の色の人たちに合う化粧品を開発しようとしたことが支持が広がった理由だという。

表面的な企画ではダメで、ブランドには「世の中を本気で変えていこう」「本気で未来への約束をしよう」という勇気が問われていると著者はいう。「世界のマーケターは、環境や、社会的包摂、教育、人々のメンタルヘルスに対して、今何ができるかを考えている」。これが本書に通底するマーケティング観だ。

メインの平台最上部のベスト5の紹介コーナーで面陳列する(リブロ汐留シオサイト店)

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