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新型コロナウイルス禍で想定以上に流動化が高まった転職市場で、個々人はどのように生き延びればいいのか。転職サイト「日経転職版」は、リンクトイン日本代表(当時)の村上臣氏(現グーグル日本法人検索担当ゼネラルマネージャー)を招き、著書『転職2.0』の出版から約1年がたった現在の転職マーケットや日本型雇用の変化などについてウェビナーで聞いた。

―『転職2.0』の出版から1年がたち、転職市場はどのように変化しましたか?

新型コロナウイルス禍になってもう2年がたちますが、今、特に人材流動性の高いアメリカやヨーロッパの国々では「グレート・レジグネーション」「グレート・リシャッフル」という言葉が出てくるほど、大量転職時代になっています。コロナによって厳しくなった業界を中心に人員削減が行われたり人材が他のところに移動したりすることが増え、「コロナという外的要因で人材流動性が高まった」ということが世界全体で言える状況になっていると思います。日本においても同じようなことは起こっていて、業界を移る動きが増えていることは、この1年における特筆すべき点だと思います。

―コロナという外的要因が大きいのでしょうか?

かつての安倍政権下において「一億総活躍」から始まり「働き方改革」「女性活躍」という政策が次々と打ち出され、企業はそれに徐々に対応してきました。そこにコロナのパンデミックが起こり、企業からすれば「あと5年くらいで何とかしよう」と思っていたことを「1、2年で何とかしなければならない」という状況になりました。変化のスピードが強制的に早められたという感じだと思います。

―変化のスピードが非常に早くなっている中、そこから取り残されていると感じている人もいると思いますが、どうすれば村上さんの言う「転職2.0」の波に乗れるのでしょうか?

転職2.0をひと言で説明すると「キャリアのオーナーシップを自分でもとう」です。1.0と2.0の違いを「日本型雇用からジョブ型雇用へのアップデート」という軸で語ることもできますが、最も重要なポイントは、自分のキャリアは自分で作っていくものだということを心の底から理解することに尽きると、私は考えています。

例えば会社から「それはちょっと厳しいな」と思うことを要求されても、「しょうがない、頑張るか」と、多くの人はよほどのことがない限り転職はしないと思います。これは、自分のキャリアのオーナーシップを会社がもっているということであり、背景には終身雇用が約束されていることがあると思います。これが転職1.0の世界です。

それに対し、転職2.0の世界では、会社の提案が厳しいなと思ったら、社外の機会と見比べて会社に残るのか出ていくのかを自分で決めるという、「会社と自分はフェアでフラットな関係」だと捉えます。自分のキャリアをどう作っていくのか、自分自身で考えながら切り開いていくということです。

―転職2.0の世界では、転職は自分の価値を最大化させるための手段ということですね。

まさにその通りで、1回の転職ですべてをかなえようとする人がとても多く、特に初めての転職ではそうなりがちなのですが、転職はあくまでも手段です。社外も社内も広く見た上で、自分の市場価値を上げることを考えることが重要です。日ごろから自分の市場価値を意識して真剣に考えている人はまだまだ少ないと思います。

―個人のキャリアに対する意識の変化が進む一方で、企業や政府におけるジョブ型雇用の制度面での整備は遅れているようにも感じます。

ジョブ型を導入する企業は増えていますが、根本的な考え方の理解がされないまま仕組みづくりだけが進んでいるケースもあるように思います。「人が先か? 仕事が先か?」で言えば、ジョブ型は「適材適所」ではなく「適所適材」が正しいです。

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