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有森裕子 今こそ国立競技場のあり方を考えるとき

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日経Gooday(グッデイ)

2022年7月16日から25日(日本時間)にかけて、米オレゴン州ユージーンで世界陸上競技選手権大会(以下、世界陸上)が開催されました。大会初日の男子20キロ競歩では山西利和選手(愛知製鋼)が金メダル、池田向希選手(旭化成)が銀メダルを獲得し、山西選手は、世界選手権で日本人選手初の2連覇という快挙を成し遂げました。24日には、男子35キロ競歩の川野将虎選手(旭化成)が銀メダルに輝き、日本の競歩の強さを世界に示しました。

また女子やり投げでは、北口榛花選手(JAL)が、女子フィールド競技で日本勢史上初の表彰台となる銅メダルを獲得。男子100メートルでは、サニブラウン・ハキーム選手(タンブルウィードTC)が世界陸上で日本人初のファイナリストとなり、10秒06で7位入賞。男子走り高跳びでも真野友博選手(九電工)が日本人初の決勝進出で8位入賞を果たすなど、数々の歴史が塗り替えられました。

一方で、日本選手団にとっては、新型コロナウイルスが直撃した苦難の大会でもありました。男子マラソン代表の鈴木健吾選手(富士通)、女子マラソン代表の一山麻緒選手(資生堂)、新谷仁美選手(積水化学)などが陽性となり、レースを欠場。コーチ複数名も陽性となり、改めてコロナ対策の難しさを痛感させられる大会でした。日本でも第7波による過去最大規模の感染拡大が続くなか、改めてスポーツとコロナとの向き合い方について考え、さらに気を引き締めていかなければならないと感じました。

リアルイベントが次々に復活、全国を駆け回る日々

さて、最近の私の活動のお話をすると、講演はもちろん、マラソン大会や陸上教室など、リアルなイベントが春頃から少しずつ増えてきました。どの現場でも感染拡大を防ぐための準備はしっかりしつつ、3年ぶりに全国各地に足を運んでいます。例えば、2022年11月に私の故郷で「おかやまマラソン」が3年ぶりに開催予定なのですが、この大会に向けた女性ランナー向けのランニング教室が、去る5月に岡山ドームで開催されました。女性参加者の裾野を広げることを目的に開催されたこの教室には、岡山在住の10代から60代の50人の女性ランナーが参加。私はゲストとして皆さんの前に立ち、走るフォームのポイントや、日常生活での筋力強化についてのアドバイスをさせていただきました。最後は一緒に並走させていただき、久しぶりの交流に自然と笑みがこぼれました。

子どもたちに向けた活動も再開しています。同じく5月には、北海道むかわ町にある穂別小学校の児童と穂別中学校の生徒の皆さんに向けて、マラソン教室を開催しました。本来なら300人ほどの中学生が参加する「Arimori Cup」というマラソン大会を開催する予定でしたが、コロナの感染拡大防止の観点から、代替イベントとして実施したものです。もともとこのマラソン大会は実行委員を中学生が務めてくれていて、小学生を整列させるなど、しっかり面倒を見てくれていました。感心するとともにほほえましくも思いました。

実際の指導は走り方の基本をアドバイスするぐらいでしたが、中学生を中心にみんなでチームを決めてリレーを実施しました。学年も関係なく、毎年参加してくれているダウン症の生徒さんも一緒に走り、周りは自然と応援する雰囲気になってとても盛り上がりました。

コロナ禍で気づいた「リアル」に参加できない人たちの存在

6月の初旬には、3年ぶりに開催された「信州安曇野ハーフマラソン」に、安曇野市スポーツ大使としてゲスト参加しました。初夏の気持ちのいい晴天の下、約5200人のランナーと約300組の親子が参加しました。私は開会セレモニーに参加し、久しぶりの大会を満喫しながら一生懸命走る皆さんを、大声は封印しつつ、応援させていただきました。

子どもたちに走り方を教えるのは新鮮ですし、教室や大会に出場した皆さんからは元気と笑顔をいただいて、リアルイベントならではの楽しさを久しぶりに実感しました。そんなリアルなイベントが戻ってきつつある世の中の流れはとてもうれしいことですが、その一方で、コロナ前のような、リアルなイベントだけの開催に戻ってほしくないなとも感じています。

なぜならこのコロナ禍で、主催者の創意工夫によってさまざまなオンラインイベントが生まれた結果、障害などさまざまな事情でリアルイベントには参加できなくとも、オンラインであれば参加できるという人がたくさんいることに私たちは気づいたからです。共生・共存や多様性、SDGsなどを掲げる社会の流れの後押しも受けて、これからは、リアルイベントとオンラインイベントを同時開催するなどの「リアル+α」がもっと生まれてほしい。どんな状況の人でも参加しやすい「+α」のアイデアを、スポーツのみならず、仕事やレジャーなどさまざまな場面で常に検討していく必要があると感じています。

2年連続で続く世界陸上 パリ五輪にどう照準を合わせるか

最後に再び世界陸上の話に戻りましょう。今回のオレゴンの地で、2025年世界陸上の東京での開催が決定するといううれしいニュースが届きました。かつて私も出場し、女子マラソンで4位に入賞した1991年の東京世界陸上や、2007年の大阪世界陸上に続いて、日本での世界陸上開催は3回目になります。世界陸上は2年おきに開催されますが、今年の世界陸上はコロナの影響で1年遅れの開催となったため、次回は来年2023年にハンガリーのブダペストで開催されます。その翌年の2024年にはフランス・パリ五輪が開催されますから、陸上競技が日本人から注目される大きな大会が目白押しで続くことになりました。

世界陸上が2年連続で開催されるというイレギュラーな現状のなかで、多くの選手やコーチが、パリ五輪にどのように照準を合わせるべきか作戦を練っていると思います。特にマラソン選手にとっては、パリ五輪のマラソン代表を決める「MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)」(日本陸連が主催するオリンピックマラソン日本代表選考会)の日程がポイントになります。チャンスは複数あるなかで、MGCに向けて、いつ、どこで開催される大会を選び、どのようにコンディションを整えていくか。そうした調整力が何よりも大切になってきます。

さらに今回の世界陸上の男子マラソンでは、西山雄介選手(トヨタ自動車)が2時間8分35秒という、世界陸上では日本最高の素晴らしい記録でゴールしましたが、13位という結果で入賞には届きませんでした。本人もインタビューで語っていましたが、マラソンにおける世界の壁はますます高くなっています。MGCでは先頭集団を牽引してくれるペースメーカーも、世界陸上や五輪の舞台ではいません(有森裕子 女子マラソン、好タイム続出の陰に「男子」)。そうしたレースにも対応できる力を身に付けないと、世界の壁を乗り越えるのは難しいのだなと改めて感じさせられました。

開かれた国立競技場が陸上ファンの獲得につながる

前回(有森裕子 陸上の魅力をいかに伝えるかを深く考えた)、陸上競技のファンを増やすにはどうすればいいか、という話題に触れましたが、多くの人に陸上競技の大会に足を運んでもらう機会を1つでも2つでも生み出したいと願うなかで、国立競技場で世界陸上が開催されることは大きなチャンスです。そして、世界陸上以外でも、普段から一般の方々と国立競技場の距離がもっと近くなるような施策があればいいなと感じます。

例えば、旧国立競技場がそうだったように、一般の人が有料で競技場内を走れる日を設けたり、ウエイトルームを設置したりして、日常的に東京のみならず全国の人に開放してもらえたらいいのにと思います。人々の日々の健康のために国立競技場が使えるようになれば、陸上がもっと身近な存在になり、陸上競技を観戦しようと思ってふらっと足を運んでくれる人が増えるのではないかと思うのです。

今年5月に開催された陸上日本選手権では、1万メートルの競技は大阪ではなく国立競技場で行われました。その際、チケットの種類によって入れるエリアとそうでないエリアがあったと聞きました。以前の国立競技場のように観戦中は競技場のどこにでも行き来できるようにし、いろいろなエリアで行われている競技を見て、陸上の面白さをもっと体感できるような状況にしたほうがいいように思います。より開放的にすることで、ファンの獲得につながるのではないかとも思うのです。

もちろんさまざまな事情があると思いますが、多くの人々から愛される、開かれた国立競技場を目指して、2025年の世界陸上を多くの人たちから歓迎される状態にしていく努力が大切のような気がします。皆さんはどう思われますか?

(まとめ 高島三幸=ライター)

[日経Gooday2022年7月28日付記事を再構成]

有森裕子さん
元マラソンランナー(五輪メダリスト)。966年岡山県生まれ。バルセロナ五輪(1992年)の女子マラソンで銀メダルを、アトランタ五輪(96年)でも銅メダルを獲得。2大会連続のメダル獲得という重圧や故障に打ち勝ち、レース後に残した「自分で自分をほめたい」という言葉は、その年の流行語大賞となった。市民マラソン「東京マラソン2007」でプロマラソンランナーを引退。2010年6月、国際オリンピック委員会(IOC)女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞した。

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