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介護事業とハイテク技術の融合が次の経済成長を生むとto説く落合陽一・筑波大準教(画像提供:筑波大学 デジタルネイチャー研究室、以下同)

介護事業とハイテク技術の融合が次の経済成長を生むとto説く落合陽一・筑波大準教(画像提供:筑波大学 デジタルネイチャー研究室、以下同)

人生100年時代が現実に近づきつつある。他方、身体の自由が衰える「老い」の進行も避けられず、老々介護の問題も年々深刻化している。筑波大学の落合陽一准教授は、最新のハイテクを駆使した介護産業の育成を提唱し、自らの大学研究室で人工知能(AI)を用いた自動運転の車イスなどを開発している。著書の『落合陽一、34歳、「老い」と向き合う』(中央法規出版)のポイントについて聞いた。

老人ホームで気づいた「自動化の余地がたくさんある」

――情報テクノロジーやメディアアートの分野で活動中の著者が、今回は全く異なるジャンルである、少子高齢化の中での介護問題に取り組みました。

「昨年9月に34歳になり、以前のようなガムシャラな働き方は無理かもしれないと、ある種の『老い』を実感するようになりました。しかし否定的な面だけではありません。計算やプログラミングは20代の方が冴(さ)えていた一方で、ぼんやり世界を眺めながらインスピレーションを得るといった営みは、今の方がうまくいきやすくなった感覚もあります。年齢によって頭を使う得意分野が変わり、テクノロジーの進化もあってライフステージごとに異なる味が出てくるのだと思います」

――初めて介護の現場を経験したのは、まだ高校生でしたね。アルツハイマー症を患った、ご家族のお見舞いに老人ホームを訪れた時だったと著書にあります。

「介護職の方々が働いている様子を見るにつれて『自動化できる余地がたくさんありそうだ』と思いました。介護という言葉に明確な定義は、実はありません。自分としては介護保険法第1条が示すように要介護者が『尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう』にサポートすることが、介護の本質だと考えています。具体的にはハイテクを駆使して要介護の高齢者らの方の身体機能を補完することです」

「2021年の『高齢化社会白書』によると、日本の高齢者(65歳以上)の人口割合は28.8%という超高齢社会です。一方で『3K(きつい、汚い、危険)』というイメージが先行し、賃金も抑えられ気味の介護従事者数は、慢性的な不足傾向が続いています。現在は車イスの移動には1、2人の介助者が付き、介護職は時間も労力も負担を強いられます。私の研究室では介護従事者の課題を解決するためのイノベーションも目指しています」

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