2021/11/18

お金持ちは収入の多寡で決まるものではない

お金持ちになれるかどうかは、収入の多寡で決まるものではありません。むしろ、もっと大切なものがあるのではないでしょうか。それはお金を使う際に、自分軸をしっかりと持っているということです。先ほども述べましたが、自身の価値観に照らし合わせて必要なところにだけ、必要なお金を使っていく。そうしたことができる人がお金持ちになれるように思います。あくまで私自身が見聞きしてきた範囲ですが、お金持ちの人は「なんとなく安かったから」と必要でないものまで、つい気分で買ってしまうことはしないようです。

私が子どもに「どうやったらお金持ちになれるの?」と聞かれたら、こう答えます。「自分にとって何が大切かが分かっていて、それにお金を使える人。つまり大切ではないことにはお金を使わないようにすることだよ」。そして、こう付け加えます。「大切なときに使えるだけのお金があるように、自分で働くようになったら仕事できちんと成果を出そう。同時に万が一の何かやどうしてものときに力を貸してもらえるように日ごろから周囲の信頼を得られるようにすること。これも大切だよ」

十人十色とはよくいったもの。お金の使い方に関しても、周囲からみたら、くだらない、無意味だと思えるようなことにお金を使うことも時にはあるでしょう。ただ、お金持ちの人は、無意味なことにお金を使う場合も、一定の節度を持っているようです。家計に余裕があるからといって、大金を持っている分だけ注ぎ込む、といったようなことはしないのです。

私からこのような話を聞いて育った長女は間もなく26歳。一人暮らしですが、お金をコツコツとため、つみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)も始めています。自分の取りたい資格に関しては惜しみなく出費して学び、気分転換のための旅行費もしっかり出しています。ただ、コロナ禍前でもむやみに飲み会を開いたり、ほしいものもないのにバーゲンに出かけたりはしませんでした。彼女がお金持ちになるかどうかは分かりません。ただ、お金に困る生き方にはならないだろう、そんな自信があります。

1人の親として、我が子に限らず子どもたちには、お金を使う価値や意味、使い方についても学んでいってほしい。そして、より良い人生を送るための道具として、お金の使い方を自分の頭で考えられる人に育ってほしい。そう願っています。「お金持ちになりたい」とお子さんがおっしゃったら、その発言をきっかけに親子で一緒に話し合ってみませんか。

横山光昭(よこやま・みつあき)
家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表。お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の確実な再生をめざし、これまでの相談件数は2万3000件を突破。著書に『はじめての人のための3000円投資生活』『年収200万円からの貯金生活宣言』など。オンラインサロン「横山光昭のFPコンサル研究所」を主宰。

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