2021/11/18

「自分軸」で支出に優先順位をつける

これまでの経験から申し上げます。お金持ちの方はたいてい、自分流のお金のビジョン、言い換えれば「自分軸」を持っていらっしゃいます。

言い換えれば、ご自身の収入に限りがあることを理解し、そのなかで支出を収めるため、自分軸に照らしながら優先順位をつける形でお金を使っていくのです。あれもこれもと欲しいモノややりたいことなどに欲望のままにお金を使うのとは異なり、計画的な使い方をしている方が多いです。

このお金の自分軸は、自分で考えることでしか得られないものです。「自分にとって、お金を使うべき、大切なこととはどういうことだろうか」「自分が目指したい生き方は」と自問自答し、どうすればそこに行き着けるかを考えた先に見えてくるもの、ともいえます。子どもにはとても難しいことですし、大人でも自分の軸を即答できる人は少数派でしょう。

家族会議でお金について考えるトレーニング

ただ、子どものうちから、少しずつ準備していくことはできます。何事も経験なり。お金について考えるトレーニングをしていくのです。

我が家では月に1度「家族マネー会議」を開き、お金について家族全員で話し合っています。収入、支出、貯金、やりたいこと、欲しいもの。こういったことをお互いにシェアしながら、支出にムダはなかったか突っ込みを入れてみたり、お金を使ってやりたいことや欲しいものについて説明したりするのです。

特に、やりたいこと、欲しいものになると、子どもたちは自分の願いをかなえようと必死に考えてアピールします。というのも、「なぜそれが欲しいのか、やりたいのか」を親やきょうだいにしっかり伝えられないと、却下されてしまうからです。それを手に入れたらどんなプラスがあるのか、目標とするところはどこなのか。かつて6人の子の多くが小学生だった時期でも、非常にシビアに話し合っていました。

「途中でやめちゃうんじゃないの? それなら意味ないじゃん」「その程度の目標なら、お金がもったいないよ」など、子どもたちは自分のことなら親やきょうだいに甘く認めてほしいのに、他の子については意外に厳しく意見を出していました。

そんな風に突っ込まれながら、考えることを続けていくと、お金を使って手にすることができるのは、やりたいことではなくその先にあるものなのだということに気が付いていくようです。家族会議に参加して1年、2年たつと、子どもたちは「やるか、やらないか」ではなく「それをすることで、どうなるか」に焦点を当てて話し合うようになっていきます。面白いものですね。

実は、こうしたトレーニングが、自分軸の形成につながっていきます。お金の使い方に対する自分の考えが、しっかりしてくるのです。

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お金持ちは収入の多寡で決まるものではない