カワナ社長は小学生の一時期、米国に滞在したり、社会人になってから米国のデザイン会社の上海事務所に勤務するなどした経歴を持つ。とはいえ日本酒とはほとんど縁がなかった、と明かす。たまたま数年前、祖母の法事があった際に、世界の多くの人が利用するワインのアプリ「Vivino(ヴィヴィノ)」の存在を知り、この日本酒版ができないか、と考えた。

イベントを主催するカワナ アキ社長

日本酒のことを知ろうと、自分なりに醸造学や発酵学について学び、蔵元へも足を運ぶようになったのは、それからで「以来、すっかり日本酒のおいしさや伝統産業としての魅力に魅せられた」。

20年12月に発足した一般社団法人J.S.P(ジャパン・サケ・ショウチュウ・プラットフォーム)の加盟蔵の映像制作を手がけたことで、その関係者から「若手の夜明け」の主催者を引き受けてもらえないか、と打診され、引き受けることを決断した。イベント開催期間の拡大で「自分好みの日本酒の『始めの一歩』となる機会にしたい」と意気込みを見せる。

カワナ社長は酒を扱う当事者とは立場が違うため、業界のしがらみもない。だからこそ、これまで難しかったことにもチャレンジできるのが強みでもある。酒販店に協力を求めたり、日本酒のある美しい風景をとりためた映像展「saketrimony(サケトリモニー)」を昨年秋に都内で開催したり。日本酒の情報や酒造りの情緒を伝えるアプリ「camo(カモ)」の年内リリースに向けて励んでいるのも、その一環といえる。ちなみにアプリの名称は「酒を醸す」に由来する。

日本酒を取り巻く環境の厳しさは、カワナ社長も実感している。清酒製造免許場の数は1970年代には3500以上あったが、今では実質稼働しているのはその3分の1ほどになっている。伝統産業でもあるせいか、保守的な傾向も否めない、と感じているという。だからこそ、今回のイベントを単なる打ち上げ花火的なものではなく、「日本酒や酒蔵などを資産的な事業にしていきたい」ときっぱり。資産的とは時間の経過とともに価値が向上していくことで、その対義語は「消費的」とカワナ社長は力説してやまない。

「若手の夜明け」(https://sakejump.com/)は9月21日~24日まで各日午前11時30分~午後9時(最終日のみ午前9時~午後6時30分)で、2時間入れ替え制となっている。雨天決行。当日券(税込み4500円)もあるが、事前にオンラインで前売チケット(税込み4000円、手数料別)を購入した方がお得だ。新型コロナウイルスの感染対策に配慮しながら、来場者は期間中、最大で2万人を見込む。

(堀威彦)