ネット中傷、対応共有を アーティスト・スプツニ子!ダイバーシティ進化論

2023/1/19

ヒラリー・クリントン元米国務長官が昨年10月に来日した際、米国大使館公邸で開かれた意見交換会にお邪魔した。女性を中心に政治家や企業人らが招かれ、米国の中間選挙などさまざまなテーマで話が弾んだ。なかでも私が印象深かったのが「インターネットでは女性が被害にあいやすい」という点をヒラリーさんも問題視していることだった。

ヒラリーさん自身、ネットで見るに堪えない誹謗(ひぼう)中傷を浴びている。ネットで挑発的なメッセージが発信されると、デマであってもあっという間に拡散してしまう。オンラインの被害は誰もが受ける可能性があるが、少数派や旧来のジェンダーの価値観に縛られないフェミニストらは標的になりやすいという研究がある。

ネット空間であっても、実際の暴力と同様に身がすくむ女性が多いのではないか。人権団体アムネスティ・インターナショナルが2017年、米英など8カ国の女性約4千人に聞いた調査では、23%の女性がオンラインでハラスメントを受けた経験があると答えた。

私は07年からツイッターを利用している。当初は普段声をあげにくい少数派を含め誰もが自由に発信できる言論の場として、前向きな空気に満ちていたと思う。本来なら多様性の推進を支える可能性があるツールなのに、今や人格否定や侮辱などの言葉が飛び交う場になっている。非常に残念なことだ。

写真はイメージ=PIXTA