まかせて安心な老舗ステーキ店 鉄板焼きのマエストロ極上の肉編④ ステーキハウスハマ 六本木本店

鉄板で肉を切り分ける平井取締役総料理長
大切な人と一緒に行きたいお店を選べるサイト「大人のレストランガイド」から、安心して通える「行きつけにしたい店」をピックアップして紹介します。 

前回の東京五輪が開催された昭和39年(1964年)に東京・六本木で開業し、ステーキ専門店として日本で最も早く鉄板焼きを始めたというステーキハウスハマ。現在は六本木(本店)、銀座、目黒、札幌、郡山に5店舗を構える。新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言下で銀座などほかの店舗は一時営業を見合わせたが、六本木本店だけは店を開け続けた。営業部長の大河原利友さんは「開業から57年、その間ずっと来ていただいているお客様がいらっしゃるからです。お料理も一切変えず、同じように提供いたしました」と胸を張る。

その六本木本店をお昼時に3人で訪問した。英国貴族のマナー・ハウスを思わせる重厚な外観の4階建て一軒家。1階ロビーを通ってエレベーターで上階へ。シェフが待つ鉄板カウンターのある個室に通された。

注文したのはステーキランチ。鉄板に野菜をしいて、その上に肉を置き、ふたをかぶせる。肉を直接鉄板で焼くのではなく、こうすることで小型のオーブンの中で肉に圧がかかり、まんべんなく熱が入るのと同じ状態になる技だそうだ。

「今日はどんな肉なんですか」「あ、野菜は肉を焼くときに使うんですね」。シェフの手際を眺めながら、ついいろいろと質問してしまう。シェフはそのたびに気さくに応じてくれる。焼き加減など客の好みに応じながら、絶妙のタイミングで料理がスッと提供されていく。シメのご飯、デザートまで流れるように時間が過ぎた。

すべての席でカウンターの鉄板料理を楽しめる

食事を終え、鉄板焼きは幹事役が非常に楽なシステムだと気づいた。例えば仕事で付き合いのあるお客さんを接待するときに、会話のネタが尽きて困った経験を持つ人は少なくないのではないか。そんなとき、鉄板焼きの店であればシェフの手さばきを会話の糸口にしたり、シェフに話しかけて会話のキャッチボールのきっかけにしたりすることができる。くわえて、食事をお客さんの皿にいちいち取り分けたりするのに気を使う必要もない。すべてシェフが仕切ってくれるからだ。食べ物の好みなどもすべてお店にお任せ。流れに身を任せていれば決して間違うことはないという安心感は接待の場面では絶大な効果がありそうだ。

手土産も手配できるのも、幹事にはありがたい。オリジナルの焼き菓子「フリアン」やハマ特製のビーフカレー、黒毛和牛味噌漬けなどを帰り際にさりげなく相手に手渡せる。

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肉を最上の状態で出すために「特訓」