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ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測しているリブロ汐留シオサイト店だ。人出はかなり戻ってきて、旅行や遠出への期待感からか、ここ2年まったく動かなかった旅行関連の本やムックの売れゆきが好調だという。ビジネス書の新刊への反応もだいぶ上がってきた。そんな中、書店員が注目するのは、外資系企業のトップとして経験を積んだ元社員のプロ経営者がパナソニックの部門会社にトップとして戻り、企業改革を成功に導いた軌跡を自ら語った本だった。

パナの企業向けカンパニーの変革を主導

その本は樋口泰行『パナソニック覚醒』(日経BP)。副題に「愛着心と危機感が生む変革のマネジメント」とある。著者の樋口氏はパナソニックホールディングス(HD)傘下で企業向けビジネスを手がけるパナソニックコネクトの社長だ。34歳でパナソニックを辞め、ボストンコンサルティンググループに転じた後、いくつかの外資系企業をへて日本ヒューレット・パッカード、ダイエー、日本マイクロソフトで社長を務め、2017年、当時の津賀一宏パナソニック社長に請われてパナソニックに戻り、企業向けビジネスのカンパニー長に就いた。

そこから5年、同氏が進めてきた改革の取り組みを自ら1冊の本にまとめたのが本書だ。「なぜパナソニックに戻ることを決めたか」に始まり、同氏が3階層の改革と呼ぶ取り組みの詳細まで語っている。

著者はダイエーの社長時代を除き、長く外資系企業で過ごし、「激烈な競争を戦い、勝ち抜いていくグローバル企業の強さを肌で実感」してきたという。とりわけ強い印象を残したのは「トップダウンによるガバナンスの強烈さ」だ。マイクロソフトでは最高経営責任者(CEO)交代からわずか1週間で8人の幹部が替わってしまう経験をした。日本企業ではそういうわけにはいかない。

では何が必要になるのか。「変革について理解してもらう」「しっかりと腹落ちしてもらう」ことだ。だが、理解だけでうまくいくものでもない。「理解と共生のバランスが問われてくる」と著者はいう。もう一つ重要なのが「聖域を作ってはいけない」ということだという。東京への本社移転、それに伴う社長室さえないフリーアドレス化から同社の改革はスタートしていく。

全体は4章構成。これに序章と終章が加わる。第1章「大きな絵を描く」で全体戦略を示した後、3階層の改革の各層を1章ずつ「カルチャー&マインドを変える」「ビジネスモデルを作り直す」「事業立地を整える」として詳述していく。

入り口正面のメインの平台に、ソニー平井氏やアマゾンのジェフ・ベゾス氏の本と並べて展示する(リブロ汐留シオサイト店)

入り口正面のメインの平台に、ソニー平井氏やアマゾンのジェフ・ベゾス氏の本と並べて展示する(リブロ汐留シオサイト店)

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