
これまでフランスや英国、ポルトガルなど10カ国以上に赴き、どんな缶詰が販売されているかを調べてきた。それで分かったことは、日本で販売されている缶詰の種類が、他の国よりも圧倒的に多いということであります。
大まかに分けても和食、洋食、中華料理のジャンルがあり、より細かく分ければ北欧、インド、東南アジア、中南米など様々な地域の料理がそろっている。これほどまでに多くの料理が缶詰になっている国は他にない。
食材で見ても、肉なら鶏、豚、牛、羊のほかに、クジラもあるし、シカやイノシシなどのジビエもある。フードテックの最前線である「代替肉」も、すでに缶詰化されている。
なぜ日本の缶詰は、これほど種類が多いのか? きっと我々が食いしん坊だからだと思うけど、他にも要因があるはずだ。そこで、缶詰を様々な角度から再分類していたら、ふと気付いたことがあった。それは「副菜」という捉え方であります。主菜の他にあと1品、何かを食べたい。そんな時に役立つ副菜の缶詰が、多数存在していたのだ。今回紹介するのは、そんな副菜缶詰の代表例3缶であります。

副菜の代表格、きんぴらごぼうも缶詰になっている。現在3社ほどが販売しているが、歯触りが素晴らしいと思えるのが、味の加久の屋(青森・八戸)の「Mikata きんぴらごぼう」だ。
Mikataは「味方」のことで、忙しい日々の献立を助けるという意味がある。きんぴらごぼうを作るには、意外に手間が掛かる。だから、缶詰でまかなえれば確かに助かる。具はゴボウとニンジン、コンニャクで、かなり細切りにしてあるのが特徴だ。ゴボウとニンジンの歯触りが良く、高温で加熱した缶詰とは思えないほどシャキシャキしている。甘辛い味はコンニャクにも染みていて、それでいて味付けがあまり濃くないのが現代的である。
Mikataシリーズには、他に「ひじきの煮物」や「筑前煮」などの副菜があり、すべてうまみ調味料は使われていない。パッケージのデザインが愛らしいのもいい。見えるところに並べておきたいくらいだ。