まだ続く「ウィズマスク」 遮られず伝わるトーク術は

マスク着用状態の会話はこもった声になりがちだ(写真はイメージ) =PIXTA

ようやく緊急事態宣言が解除されたが、感染症対策はまだ終わりが見えない。というよりも、このままずっと続くのかもしれないという雰囲気さえある。つまり、マスクをはずせない状況が続くということだ。「ウィズマスク」の場合、声の出し方が変わってくる。対話に役立つ発語の方法を考えてみたい。

マスク着用下での会話には、この2年ほどでかなり慣れてきた。しかし、トーク品質の低下には、ずっといらだちを感じている。自分の声がマスク内にこもって、目の前の相手に届いていないという不満が消えない。不満が募る理由は、発言の何割かがトーンダウンされているように思えるから。要するに、「ちゃんと伝わっているのか」という疑念が起きてしまうのだ。

実際、うまく聞こえていないことは、相手の声を聞けばわかる。何だかモゴモゴしていて、歯切れが悪い。張りが乏しく、のっぺりして聞こえる。めりはりも不足して、中身にも魅力が薄く思えてしまう。つまり、退屈に思える。せっかく意味のある内容を話していても、マスクが魅力を何割か目減りさせているような印象だ。

マスクを1枚はさむだけで、こんなにトーク品質が劣化するというのは、過去には気づかなかったことだ。従来から花粉症の人がマスクを着用してしゃべることはあったが、頻度が多くなかったこともあって、あまり気にしていなかった。しかし、誰もがマスク越しで話すようになって、劣化現象を実感することになった。これはコミュニケーションを確保するという意味ではまずいのではないか。

まだウィズマスク状況が続くとなれば、劣化を放っておくわけにはいかない。しゃべる側の工夫で、どうにか劣化度合いを抑える必要がありそうだ。では、どんな工夫を取り入れれば、伝わりやすくなるのだろう。対策を考えるうえでは、先に挙げた劣化ポイントが手がかりになる。張りや歯切れが不足しているから、のっぺりしたモゴモゴ調に聞こえるわけだ。つまり、こういった欠点を補う話し方を意識するのが有効ということになる。

これまでは自分なりの「自然体」でしゃべっていた人が大半だろう。アナウンサーや声優のように「声」をなりわいとするプロでもなければ、声の出し方を専門的に学ぶ機会は少ない。しかし、今後は誰もがプロっぽい声出しを求められることになりそうだ。

ウィズマスク下ではこれまでとは違って、意図的な声出しを心がける必要がある。自然体の声出しでは、不織布にブロックされて、劣化が起きやすい。これからの会話では自然体ではなく、「伝えるぞ」という気合いが求められる。この変化はいささかストレスを伴うが、ビジネス上の用件を伝えたり、聞き手を動かしたりするうえでは、必要なスキルになっていく気配がある。

感覚的な言い方を許してもらえるなら、声のボリュームは「2倍」程度を意識してはどうだろう。2割ではない。2倍だ。なぜなら、これまで日本人は総じてトーンが低すぎたように感じてきたからだ。控えめを重んじる美徳は素晴らしいが、ビジネスシーンでは声も武器。しっかりこちらの希望や要求を押し込んでいかないと、不利益をこうむりかねない。

従来のビジネストークは声量が低すぎた気がする。マスクという邪魔者の出現を口実に、音量をアップしてはどうか。思い切って声を出しやすくするうえでの目安が「2倍」だ。5割の目減りが起きていると考えるなら、2倍でも増量しすぎとはならないのではないだろうか。

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