08年のリーマン・ショック時は金融機関が深手を負いましたが、「コロナ下でも金融は健全性を保っており、投資ファンドが低利で資金調達できているのも大きい」(三菱UFJ信託銀行の大溝氏)ようです。

足元は好調な都心オフィス市場ですが不安要素がないわけではありません。この1、2年はビルの新規供給が比較的少なく、需給を引き締める効果がありました。「23年には大量の新規物件が出てくる。そこに景気悪化が重なるとリスク要因になる」とSMBC日興証券の鳥井氏は指摘します。

長嶋修・さくら事務所会長「住宅価格上昇、バブル期とは違い一部にとどまる」

新型コロナウイルスの感染拡大という状況下にあって、好調を維持しているのはオフィス用不動産だけではありません。住宅不動産も中古マンション価格の値上がりが続くなど活況を保っています。その理由を不動産コンサルティング会社、さくら事務所(東京・渋谷)の長嶋修会長に聞きました。

――マンションは新築、中古とも値上がり傾向が見られるようですね。

「コロナ感染拡大の影響が住宅で最も大きかったのは最初の緊急事態宣言が出た2020年4~5月ごろ。首都圏では中古マンション、新築マンションともに成約件数が半減しました。しかし緊急事態宣言がその年の夏に解除されると、たまっていた需要が一気に吹き出し、今もなお好調を保っています」

「中古マンションの1平方メートル当たり成約単価は昨年5月から今年9月までずっと前年同月を上回っています。特に都心3区(千代田区、中央区、港区)の値上がりが顕著です。新築マンションも価格、契約数ともに上向き傾向にあります」

――理由は何ですか。

「住宅を買う層には大きく分けて2つあります。初めて購入する一次取得層と、既に家を持っている買い替え層です。今回は一次取得層が買いに動いています。低金利を背景に、変動型金利の住宅ローンは0.4%前後です。一方、住宅ローン控除で毎年のローン残高の1%を控除できる期間はこれまでの10年から13年に延長されました。実質的にマイナス金利となっているわけで、これが一次取得層の購入意欲を刺激しています」

「これに対し、新規の供給や在庫は少ない状態です。10年前なら70平方メートルの新築マンションを買えた人が、現在では同じ金額ではせいぜい60平方メートル前半の物件しか買えません。買い替えても家が狭くなるため、二次取得層は買いたくても動けず、中古マンションが市場に出回らない。これが中古マンションの需給が引き締まっている背景にあります」

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