MEN’S EX

2022/11/9

BEGG x CO “Cashmere Muffler”

心まで温める 最高峰カシミヤの柔らかさ

8万300円/ベグ アンド コー(ボーダレス)

秋が深まり、金風に冷気を感じると、一つ先の角で待つ冬の気配に思いをはせて、心が静かにないでいくような、それでいて物寂しいような、なんともいえない気分になる。かすかな身震いのあと、ぬくもりを求めて手を伸ばす先はとびきり上質なカシミヤマフラーがいい。英国最高峰のクオリティーと名高いベグ アンド コーのカシミヤ。陽光を受ければ美しい鱗(うろこ)紋が輝き、手を触れれば溶けそうなほど柔らかい。首元にふわりと巻けば、人肌のようにやさしく心身を温めてくれる。そして、繊細な原毛ならではの美発色。紅葉に色づいた並木道にも、蕭条(しょうじょう)たる冬木立にもよく映えそうだ。

WILLIAM LOCKIE “Lambswool Sweater”

毛玉ができても美しい。それがたまらなくいとおしい

2万5300円/ウィリアム ロッキー(エスプリ・ユージー)

茶渋のついた湯飲み、小傷だらけの万年筆、日焼けした畳。ピカピカの新しさより使い込まれた味わいに尊さを覚えるのは、日本人特有の感性、というわけではない。遠く海を隔てたイギリスもまた、ものを大切に使う文化を古くから継承する国だ。ひび割れた靴に当て接ぎをしたチャールズ皇太子の写真は特に有名だが、当地では富める者ほど毛玉だらけのセーターを着ていたりする。もちろん、そのためには高い品質を備えていることが大前提だ。スコットランドのウィリアム ロッキーは〝毛玉ができても美しい”セーターの代表格。上質なメリノウールを用いつつ、あえてしっかりと目を詰めて編まれた一着。その真価は、とことん着込んだ後にこそ明らかになるだろう。

RALPH LAUREN PURPLE LABEL “Navy Blazer”

紺ブレの起源に秘められた「和の心」とのシンクロニシティ

30万8000円/ラルフ ローレン パープル レーベル(ラルフ ローレン)

おそらく、日本人は世界一のネイビーブレザー好きだろう。アイビー、フレンチ、ブリティッシュ、イタリア……ファッションの流行がどれだけ移り変わっても、紺ブレは常にワードローブの定番だった。その理由は、日本人が宿す「和の心」にこれ以上ないほどなじむ服だから、ではないだろうか。和の精神、その根幹は、礼儀作法を重んじ、規律と秩序を保つ文化である。そして、ブレザーの源流は制服。まさに礼儀作法と規律秩序を象徴する服なのである。Tシャツの上からでも気楽に羽織れて、社会への礼節を完璧に表せる。ブレザーは、良識ある大人の制服なのだ。

※表示価格は税込みです。

撮影=木村 慎 構成・文=小曽根広光

MEN'S EX

[MEN’S EX Autumn 2022の記事を再構成]


THE NIKKEI MAGAZINE 4月誕生!

Men's Fashionはこの4月、あらゆるビジネスパーソンに上質なライフスタイルを提案するメディア「THE NIKKEI MAGAZINE」に生まれ変わります。限定イベントなどを提供する会員組織「THE NIKKEI MAGAZINE CLUB」も発足します。先行登録はこちら