スーツは仕事着でなく遊び着 自分が楽しむ
――その後、装いで影響を受けた人はいますか。
「リングヂャケットに入社してから出張したイタリアで、ナポリの手縫いスーツを見た時には大きな衝撃を受けました。肩パッドなどは一切使わず、高度なアイロン技術と縫製による『いせ込み』という技法で、布に丸みをつけて袖付けなどを立体的に仕上げていく。1枚で仕立てるから何とも言えない味わいや色気が出る。一方、英国の服は肩パッドを入れて肩線を上げ、しわが出ないようにしますが、これだと軽さが出ないんです。これはナポリのテーラーの技を学ばなければと思い、何人も職人を連れて行きましたね」

――日本人ビジネスパーソンの着こなしで気になるところはありますか。
「スーツではサイズ感が気になります。サイズをきちんと合わせていない人が多いのでは。袖丈、着丈、ズボン丈、ちょっと気を使うだけで見栄えが違ってきますよ。基本的なことですと、ズボンなら丈はくるぶしの1センチメートル下、幅は19~20センチメートルくらいが良いでしょう。とはいえ、スーツは仕事着じゃなくて遊び着であり、自分が楽しむための服です。日本人はおしゃれで知識もあるのですから、付和雷同せずにもっと我が道を行ってもいいと思います。アドバイスするとすれば、理想的な格好をしているスタッフの店に行き、そのスタッフに相談してみるのが良いでしょう」
「毎週のように東京に出張していますが、いつも宿泊するのは新宿にあるパークハイアット東京です。旗艦店である青山の店の内装はパークハイアットをイメージしています。ぎらぎらしていなくてシックなホテルのイメージは会社が目指す姿と重なりますね」
(聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)

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