「売れるスーツに色気あり」 リングヂャケット社長リングヂャケット社長 福島薫一氏(上)

「スーツは大きすぎず、小さすぎず、奇をてらわない。一番ベーシックに見えるように気を使っています」と話すリングヂャケット社長の福島薫一さん(東京都港区のリングヂャケット旗艦店「MEISTER 206 AOYAMA」で)

ニューヨークで、ミラノで、香港で、ビジネスパーソンをとりこにしている日本製スーツがある。福島薫一社長率いるリングヂャケット(大阪市)の品々だ。効率性に背を向け、手間暇かけて仕立てた軽やかな着心地の一着は、福島社長いわく「仕事服ではない。自分が楽しむための服」。フォルムに宿る独特の「色気」が広く支持される理由とのことで、装えば最上の遊び着となる。ゆえにビジネススーツは売れないと言われる中でも、売り上げは右肩上がりが続いている。今どきの男性が服に何を求めているのか。福島さんにじっくりと聞いてみた。




奇をてらわず シックで本物感

――リングヂャケットの服には福島さん自身のスタイルが反映されていると聞きました。自身の装いで意識していることは何でしょうか。

「僕のポリシーは明快です。奇をてらわないこと。シックであること。本物であること」

――奇をてらわないといいますと……。

「あっと言わせないということでしょうか。僕はベーシックであり、本物が好きです。ネイビーのスーツであれば上質な素材を使い、細部にこだわった本物の仕立てを選びます。仕事の装いは新型コロナウイルス下でも全く変わっていません。普段はスーツが4割で、ジャケットスタイルが6割ぐらい。3月1日には春物、9月1日には秋冬物と衣替えします。スーツの時はネクタイを締め、ジャケットでは締めません。タイは無地がほとんど。ジャケットは大きめな柄が好きで、大胆なチェックなどを選びます」

ネイビーのストライプスーツにブラウンの無地のタイ。肩はゆったりと丸みがあって、極上の軽やかさだ

――今日の装いはネイビーのストライプスーツ。かっちりしたスーツとは違う、柔らかな印象を受けます。

「この生地は服地で有名なゼニアの『トロフェオ』というものを使っています。ハイランクの生地で、とてもしなやかな着心地です。オリジナルのシャツはナポリで作っている『リングヂャケットナポリ』で、ブラウンの無地のタイを合わせました。靴は昔から大好きなオールデンです」

――コロナ下でリモートワークが進み、仕事の装いに大きな変化をもたらしました。スーツ離れが進んだとも言われています。

「ところが、リングヂャケットのスーツは売れているんです」

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安いスーツは売れず 売れ筋は20万円