日経ナショナル ジオグラフィック社

ケルプの森を救う方法はほかにもある

メンドシーノ郡を訪れるなら、地元のレストランに通うだけでなく、フォート・ブラッグにあるノヨ海洋科学センターに足を運ぶのも良いだろう。同センターの半球形ドームの内部では、ウニの食害によるケルプの森の磯焼け(海藻が著しく減少して不毛状態になること)に関するビデオが上映され、問題の核心を知ることができる。また、ケルプの森のインスタレーションを鑑賞すれば、詳しい状況がわかるだろう。

ジャイアントケルプの茎状部を調べるダイバー。このケルプは、アメリカムラサキウニの食害で付着器だけになってしまったが、ウニは残った茎状部を攻撃し続けている(PHOTOGRAPH BY WATERFRAME, ALAMY STOCK PHOTO)

同センターの科学ボランティアプログラムでは、訓練を受けた地元ボランティアが、ウニだけでなくブルケルプの断片やアワビといった漂着物の調査を通じて、磯焼けの問題に取り組んでいる。別のプログラムでは、ボランティアがヒマワリヒトデの幼体を探す活動を行っている。セマンズ氏によれば、メンドシーノ郡で5年間ぶりにこのヒトデが発見された回もあったという。不定期のビーチ清掃は旅行者でも参加できる。

科学者たちは1984年からカリフォルニア州沿岸のケルプの森の変化を観察し続けてきた。現在では、ネイチャー・コンサーバンシー、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、米カリフォルニア大学サンタバーバラ校、米ウッズホール海洋研究所が提携して「ケルプウォッチ」というサイトを新たに開設し、科学者とボランティアにデータを提供している。

ダイバーの団体もケルプの森の回復に貢献してきた。今までに約22.7トンのアメリカムラサキウニが回収されているが、これはカリフォルニア州の政府機関や各自治体に加え、リーフ・チェック・ワールドワイド、ウォーターメンズ・アライアンス、ネイチャー・コンサーバンシー、ノヨ海洋科学センターなどの非営利団体が提携した成果だ。

シェフのカメラー氏は、こうした保全の取り組みと並行して、自分たちが提供するウニの一皿がケルプの生態系の回復に向けた一歩となることを願っている。

「より多くの情報が人々に伝わって、ウニをたくさん食べてもらえたら、状況の改善にきっと効果があるでしょう」と、カメラー氏は話している。

(文 KRISTEN POPE、訳 稲永浩子、日経ナショナル ジオグラフィック)

[ナショナル ジオグラフィック 日本版サイト 2022年7月25日付]