2021/11/9

「ハラスメントなくし、心理的安全性の確保を」スタンドバイウィメン代表・浜田真里氏

――ハラスメントに悩む女性議員や候補者を支援する団体を立ち上げました。

はまだ・まり 1987年生まれ。2012年、早稲田大学教育学部卒。海外での会社員生活を経て、お茶の水女子大学大学院修了。21年5月に女性地方議員の支援団体「スタンドバイウィメン」を設立

「候補者の男女均等を政党に促す法律ができたのに、当選者の女性比率が後退してしまったことはショックだ。私はこれまで約60人の女性地方議員にハラスメントの聞き取り調査をした。女性議員が増えない理由のひとつにハラスメントがあると考えている」

「新型コロナウイルス下では街頭に自由に出られなかったこともあり、SNSは議員活動に必要なツールとなった。そのため、私たちはオンラインハラスメントに焦点を絞り、活動している。ハラスメントに自身で対処するのは難しく、第三者の介入が要る。現在、研究者や学生など12人がボランティアとしてかかわり、これまで7人を支援した。SNSでの被害相談に応じたり、対策ツールを活用して不適切なコメントを本人の代わりに非表示にしたりする」

――内閣府が今春公表した調査では、女性地方議員の58%がハラスメントの被害経験があり、男性のおよそ2倍にのぼりました。

「地方議員は国会議員と異なり、秘書を公費で雇えない。住民の要望からハラスメントまで全て自分で対応しなければならず、ダメージを直接受ける。都道府県より市区町村議会の女性の方が、よりセクハラや誹謗(ひぼう)中傷に苦しんでいる。住民にとって身近で要望を伝えやすい存在であることが背景にある」

「最もハラスメント被害を受けるのは1期目、という傾向がある。それでは2期目に挑戦しようとは思えず、ほかの女性も後に続かない。ハラスメントは同僚議員から受ける例も多い。今後は議員に対する研修や、防止に向けた倫理規定整備なども必要だ。心理的な安全性を確保して地方議会で経験を積めば、国政に挑戦しようという女性も増えるだろう」

――ハラスメント対策以外で、女性議員を増やすために有効な手段は何でしょうか。

「(候補者や議席の一定数を女性に割り当てる)クオータ制の導入だ。列国議会同盟によると、世界の国会議員に占める女性の割合は平均25・8%だ。クオータ制が女性議員を増やすのに有効であることは明らかになっている。24時間働く政治家が理想とされるなど、立候補の壁はいくつもある。そのひとつひとつを壊していくことと、クオータ制導入を同時に進めないと、日本は変われない」

■「2535」実現に向け議論を
 「2535」という数字がある。国は2025年までに、国政や地方選挙の候補者に占める女性を35%に高める目標を掲げているのだ。22年夏の参院選、23年春の統一地方選を経て、次の衆院選までに今回の倍の水準の候補者を立てる必要がある。政治分野の男女共同参画推進法は男女均等を努力義務にとどめており、早くも実現が不安視されている。
 
  国には企業などの指導的地位に占める女性比率の目標を修正した経緯がある。20年に30%に高めるとしていたのに「20年代の可能な限り早期に30%」とゴールポストを動かした。今回も女性比率が低かった与党を中心に根本的な議論や総括をしなければ、2535の実現はさらに遠くなる。その結果、女性を重要な意思決定の場に加えようとする世界の潮流から取り残されてしまう。
(女性活躍エディター 天野由輝子)

[日本経済新聞朝刊2021年11月8日付]