衆院選当選者の女性比率、9.7%に低下 識者に聞く

2021/11/9

男女の候補者数をできる限り均等にするよう政党などに求める「政治分野の男女共同参画推進法」成立後、初めて行われた衆院選。与党を中心に女性候補は増えず、候補者に占める割合は17.7%。当選者では9.7%にとどまり、前回の2017年衆院選の10.1%から0.4ポイント減少した。女性の政治参画を進めるにはどのような改革が必要だろうか。

「選挙制度の見直し必要」ウプサラ大助教授・奥山陽子氏

――今回の衆院選も当選者の女性比率が低迷しました。

おくやま・ようこ 1989年生まれ。2012年、東京大学経済学部卒業。同大大学院経済学研究科修士課程を経て、エール大学で経済学博士。20年9月からスウェーデンのウプサラ大学助教授。ジェンダー格差の実証経済研究を専門とする

「候補者比率が向上せず、当選者比率も向上しようがなかった。背景には女性政治家が増えづらい社会環境がある。再選回数に上限がない小選挙区制は現職が優先され、新しく女性候補を立てる余地が少ない。政党によっては男女均衡を目標に掲げなくても有権者に嫌われないと考えており、女性を擁立しようという動きが活発にならない」

「日本は男女の性別役割分担が根強い国だ。女性は家庭の責任を負い、政治の世界へ入ることに家族から反対される例が少なくない。ハラスメントも深刻で、安心して立候補できない現状がある」

――女性議員が増えることの効用は何でしょうか。

「民主主義は全市民が参加するときに最もうまく機能する。各国の研究からは、女性議員が増えると女性有権者が主体的に担ってきた課題が政策議論となることがわかっている。フランス議会では女性は男女平等を実現する諸法案で、男性は軍事関連法案でそれぞれ修正案をより多く出した。結果として、多様な論点を網羅できるようになった」

「興味深いのはスウェーデンを対象にした研究だ。女性議員の増加がリーダーとしての能力が高い男性議員の誕生を促した。競争が男性議員のレベルも上げたのだ。日本では教育など未来世代への投資が増え、経済成長につながる可能性がある」

――クオータ制や男女同数を擁立するパリテを導入する国も多いです。

「スウェーデンはクオータ制を義務付ける法律はなく、政党が自主的に男女均衡に候補を立てようとする。政治の土壌として、ジェンダーのバランスに配慮しないと国民の信頼を失う、という認識が浸透している」

――今回の衆院選では、小選挙区比例代表並立制を導入した1996年以降、初めて20~30代の候補者が全体の1割を切りました。

「クオータ制は女性比率を上げる効果が期待されるが、性別問わず年齢分布も含めて目配りが要る。古い価値観の物差しを握りしめた政治のままでは女性も増やせない。投票率を上げ、有権者が政治に目を光らせること。また、再選回数に上限を設けたり、小選挙区と比例代表の重複立候補をできないようにしたりするなど、選挙制度も含めた政治のデザインを考え直すことが求められている」

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