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リファラル採用の落とし穴 東京大学教授・山口慎太郎

ダイバーシティ進化論

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優れた即戦力人材を確保する方法の一つとして、自社の従業員からの紹介や推薦に基づいて採用活動を行うリファラル採用がある。

リファラル採用は応募者にとっても企業にとってもメリットが大きい。双方をよく知る従業員が紹介しているため、履歴書や試験、短時間の面接では分からないような情報が得られる。その結果、採用に至りやすく[注1]賃金も高くなる傾向がある[注2]。採用後のパフォーマンスは他の経路での採用者よりやや高い程度だが、離職率が低く定着しやすいという特徴がある。リファラル採用では、採用そのもののコストが抑えられる上、離職率も低いため、従業員1人当たりの利益は20~40%も高くなる[注3]。

メリットの多いリファラル採用であるが、多様性という観点でみると落とし穴もある。紹介される人物は、性別や職務経験など様々な面で、紹介者である従業員と似ている[注4]。男性中心の組織が、この点を顧みずにリファラル採用を進めてしまうと、女性の採用が進まず組織の多様性を損ねてしまうおそれがある。

紹介に基づく経済取引は、従業員採用に限らず広くみられる。たとえば、米国では家庭医が最初の診断を行い、必要と判断すれば専門医を紹介する。研究[注5]によると、男性も女性も同性の医師を紹介する確率が、異性の医師を紹介する確率よりも10%高いことが分かった。紹介者の75%は男性であるため、結果的に女性の専門医が選ばれにくくなり、男女間での収入格差の一因となっている。

ひとが自分と似た人を好ましく思い、別の人に紹介するというのは自然なことではある。しかし、人間の自然なふるまいにはバイアスがつきものであることも確かだ。そこに悪意はなくとも、マイノリティーの立場を悪くするし、多様性を求める組織や業界にとっても望ましいことではない。

リファラル採用において、こうした問題を避けるためには、特定の属性、例えば男性ばかりが紹介されていないか定期的に点検する必要がある。あるいは、採用候補者には常に一定の女性が含まれるようにルール化することも有効だ。

これは女性にげたをはかせているのではなく、男性中心の組織がもつ無意識のバイアスを補正するために必要な作業だ。こうした工夫を取り込めば、リファラル採用は多様性の確保と経済的利益を両立させる取り組みとなるだろう。

※出典 [注1]Pallais, Amanda, and Emily Glassberg Sands. "Why the referential treatment? Evidence from field experiments on referrals." Journal of Political Economy 124.6 (2016): 1793-1828.APA
[注2]Brown, Meta, Elizabeth Setren, and Giorgio Topa. "Do informal referrals lead to better matches? Evidence from a firm's employee referral system." Journal of Labor Economics 34.1 (2016): 161-209.
[注3]Burks, Stephen V., et al. "The value of hiring through employee referrals." The Quarterly Journal of Economics 130.2 (2015): 805-839.
[注4]Montgomery, James D. "Social networks and labor-market outcomes: Toward an economic analysis." The American economic review 81.5 (1991): 1408-1418.
[注5]Zeltzer, Dan. "Gender homophily in referral networks: Consequences for the medicare physician earnings gap." American Economic Journal: Applied Economics 12.2 (2020): 169-97.
山口慎太郎
東京大学経済学研究科教授。内閣府・男女共同参画会議議員も務める。慶応義塾大学商学部卒、米ウィスコンシン大学経済学博士号(PhD)取得。カナダ・マクマスター大学准教授などを経て、2019年より現職。専門は労働市場を分析する「労働経済学」と、結婚・出産・子育てなどを経済学的手法で研究する「家族の経済学」。著書『「家族の幸せ」の経済学』で第41回サントリー学芸賞受賞。近著に『子育て支援の経済学』。

[日本経済新聞朝刊2022年11月7日付]

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