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出雲充 ユーグレナ社長

出雲充 ユーグレナ社長

ユーグレナ社長の出雲充氏は大のクラシック音楽ファン。ポーランドで10月に開催された18回ショパン国際ピアノコンクールで、反田恭平さんが2位、小林愛実さんが4位に入賞したニュースに大興奮したといいます。「最近は米大リーグで活躍する大谷翔平さんをはじめスポーツやアートなどさまざまな分野で、日本から世界に通用する若い世代がどんどん出てきています。唯一同じことができていないのが、ベンチャー企業。これは本当に何とかしなくてはなりません」。こう語る出雲氏はユーグレナを世界でも新しい形の株式会社にすると意気込んでいます。具体的な取り組みを聞きました。

(4)地域の多様性が革新生む 石垣島・バングラに学ぶ

(6)「人新世の『資本論』」に納得も一発逆転の発想は疑問

ユーグレナは2021年、定款で定める事業目的を全面刷新することを決め、8月末の臨時株主総会で承認いただきました。定款はいわば会社の憲法であり、中でも事業目的はその会社が営むことができる事業の範囲を明確にする重要な規定です。これまで当社は事業目的を「微細藻類の研究開発、生産及び販売」などとしていましたが、「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つことに資する事業」「すべてのジェンダー平等のためのエンパワーメントを図ることに資する事業」など国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の17項目と完全に一致する内容に変更しました。これは日本企業ではもちろん、世界的に見ても恐らく初の試みです。私は反対の嵐に遭うことを覚悟していました。実際、臨時株主総会の当日まで、私が会った投資家や株主は全員反対でした。

新しいことにチャレンジしない それが日本社会の「あるある」

ちょっと唐突ですが、10年ほど前、東京大学が国際化を目指し、秋入学への全面移行を提案しながら頓挫したことを覚えていますか。新型コロナウイルス禍でも再び議論が起きましたが、結局立ち消えになりました。日本で全く新しいことをしようとすると、大抵同じ道筋をたどります。まず、メリットとデメリットの比較が行われるのですが、メリットは不確実で曖昧です。やったことがないのですから、「絶対こんな効果があります」などとは言えません。一方、デメリットの方は明確です。「こんな不利益を被る人が出てくる」「こんなにコストがかかる」などと、困ることはいくらでも並べられます。そして、いろいろと議論を尽くした結果、デメリットが大きいからという理由で新しいことにはチャレンジしない。それが日本社会の「あるある」です。

今回の定款変更についても「内容が曖昧すぎる」「SDGsに貢献するとコスト増になる」などと反対されることは十分想定していました。ところが、臨時株主総会では9割以上が賛同し、承認されました。日ごろからユーグレナとはサステナビリティー(持続可能性)ファーストの会社であることを伝えてきてはいましたが、そこまで賛同してもらえたことには正直びっくりしました。大抵の場合、反対する人は声が大きく、賛成の人は控えめだったり忙しかったりで、わざわざ「賛成ですよ」とは言ってくれません。だから、反対派が優勢であるかのように見えるのですが、蓋を開けてみれば、賛成派の方が多いということは他にもあるはずです。

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