もちろん全ての商品が同様の影響を受けるわけではない。本書は影響の度合いを、①自分の嗜好②他人の意見③企業のマーケターの言葉の3つの視点で整理する。牛乳、卵などは個人で何を買うか習慣で決まっている場合があり、その場合レビューなど他人の評価の影響を受けにくく、マーケターの影響も受けにくい。だが例えば歯ブラシのようなものであれば、自分のこだわりも、他人の評価も気にならない場合があり、マーケターの影響を受けやすくなることもあると本書はしている。またどんな商品であれ、実店舗での衝動買いなど他人の評価を見ない環境だと、マーケターの影響を受けやすくなるそうだ。

さて度合いに違いはあれ、ネットの世界でも基本的にはいい商品・サービスありきなのが分かるであろう。いい商品があれば、素直に伝わるが、そこに偽りがあるとバレてしまう。

問うべきは「顧客に伝えるべき自社の良い点は?」

筆者が思うに、1冊目と合わせて本著を読むと、ブランドを作るために歴史を通じて変わらずに必要なもの(作ることと伝えることの一致)、今の時代特有のもの(伝えることが容易な領域の増加)が理解できる。

想像するに19世紀当時のハインツが現代の世界にいたら、仮にブランドの認知がなくとも電子商取引(E C)に商品を載せれば高い評価を獲得でき、高評価を見た人が商品を購入したかもしれない。一方で、19世紀当時はハインツのいかりのマークがついていれば新たな商品も売れたかもしれないが、現代では新商品の品質が低ければ、いかりのマークがついていても、悪い評判はすぐに広まってしまうであろう。より有言実行が大事になっている。

ブランドはマーケターだけではなく、会社全体を管轄する社長も見るべきものだと言うことが、この2冊でわかるであろう。会議でブランドという言葉が躍り始めたら一言問いかけよう。「顧客に伝えたいわが社の良い点はなんですか? そしてそれは本当に提供できますか?」と。

※今回紹介した2冊はいずれも多くの書店で在庫切れになっています。図書館で借りるなどでお読みください。

丸健一
 2009年、一橋大学公共政策大学院卒、野村総合研究所入社。大手企業社長・役員のメンターとして戦略策定、海外展開支援を手がける。研究者へのコンサルティングスキル移転などエバンジェリスト育成にも注力。自社コンサルティング事業本部の教育担当も2年間務める。慶応義塾大学卒、ロンドンビジネススクールMBA。