一貫性がない会社はすぐバレる

1冊目ではカバーしきれない論点がある。19世紀と現代の企業にとっての大きな違いは、インターネットの存在だ。インターネットの世界では、あなたが顧客に伝えたメッセージと、実際に提供した商品・サービスにギャップがあると、すぐにバレてしまう。「ネットで調べればレビューが見られるってことでしょ?」と言えばそれまでだが、イタマール・サイモンソン、エマニュエル・ローゼン『ウソはバレる』(千葉敏生訳、ダイヤモンド社)はその影響の度合いを丁寧に伝えてくれる。

前提として人は物事を慎重に比較検討するのが苦手な傾向にある。企業のマーケティング担当はそれを逆手にとり、顧客を誘導しようとしてきた側面もある。中でもブランドは、「××社の商品だからきっと次の商品もいい品質であろう。」と消費者に思わせてくれるものだ。

いつの世も人の性は変えられないが、慎重な比較検討が苦手な我々でも、今ではネットで手軽に他人のレビュー情報が手に入る。そうなると商品・サービスによっては、人はレビュー情報の方を信じて、企業のマーケティングを信じなくなる傾向にあるそうだ。本書は、そうしたネット上のレビューの影響は商品・サービスによって度合いが異なるよね。という点を丁寧に説明してくれる。

車、レストランなど、スペックや体験が比較しやすく、自分の意見だけでなく友人など他人の評価を参考にして買う商品は、レビューの影響を受けやすい。すなわち、企業のマーケティングの影響が顧客に届きにくい。これを読んでいるあなたも、レストランに行く前にネット上でお店についている点数を調べたことはあるであろう。これらの業種では、企業が顧客をマーケティングで誘導しにくくなりつつある。宣伝文句と違う商品はすぐにバレてしまうからだ。

この世界では、過去培ったブランドの力が使いにくい。本書でもあるように例えば「コダックのカメラだから全部いい商品のはず」と言うわけにはいかず、名が知られた会社のものでもダメな商品はすぐに周りに知れ渡ってしまう。逆に当初無名のASUS(華碩電脳=エイスース)のパソコンの優れたスペックがレビューで評価されて広まっていく事例も示されている。

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問うべきは「顧客に伝えるべき自社の良い点は?」