新規事業を科学する 成功の再現性高める方法論を公開リブロ汐留シオサイト店

入り口正面のメインの平台の中央付近に展示する(リブロ汐留シオサイト店)

本はリスキリングの手がかりになる。NIKKEIリスキリングでは、ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチし、本探し・本選びの材料を提供していく。今回は定点観測しているリブロ汐留シオサイト店だ。来店客数は土日を中心に大きく戻ってきて、ビジネス書の売れゆきも上向きの傾向という。そんな中、書店員が注目するのは、15年にわたって新規事業開発に取り組んできた著者が新規事業のチームづくりと方法論を論じた一冊だった。

3種類の人材をかけ合わせたチームが必要

その本は井上一鷹『異能の掛け算』(ニューズピックス)。副題には「新規事業のサイエンス」とある。著者の井上氏は、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の支援を手掛けるSun Asterisk(サンアスタリスク)でビジネス・デベロップメント・マネジャーを務める。同社に転じる前も戦略コンサルティングファームや事業会社で新規事業開発を手がけており、「新規事業一筋15年」と自らのキャリアを語る。

本書はその経験で培ったノウハウを一冊にまとめたものだ。全体はチーム論と方法論に分かれており、本のタイトルにもなっている「異能の掛け算」とはチーム論の中核になる考え方をさす。ビジネス(B)・テクノロジー(T)・クリエーティブ(C)という3種類の人材をかけ合わせた最大5人程度のチームを組成することが理想の価値創造をめざす大前提となる。

方法論の方では、新規事業におけるサービスの全体像をとらえ、死角をあぶり出すフレームワークを解説、これを用いてBTCチームがどのようにサービスデザインを進めていくかが解き明かされる。

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