20の構成要素から見るフレームワーク提示
このフレームワークはバリューデザイン・シンタックスと名づけられており、サービスコンセプト、競争戦略、利益構造を20の構成要素から見ていくものだ。その構成要素それぞれの解像度を、時には要素間を往復しながら徹底して上げていくことで新規事業の全体像を練り上げていく。
新規事業、事業創造のとらえ方、BTCチーム、バリューデザイン・シンタックスの3つは巻頭の折り込みページに簡潔な表の形でまとめられており、この折り込みに何度も立ち戻りながら読み進めると、内容が頭に入りやすい。
著者によれば、新規事業とは〈無数の選択肢の中で正解がわかりづらい「不確実性」が支配しているゲーム〉だという。「わかっていないことの中で重要なものを掘り起こして、その不確実性を下げていくアプローチ」こそが事業創造なのだ。
「直近3年だけでも400件以上のサービス/プロダクトを開発」してきた著者の方法論だけに、新規事業に取り組むビジネスパーソンなら知っておいて損はない方法論といえそうだ。「このところ売れ筋上位にすぐ入ってくる新刊が少ないが、この本は反応がよかった」と店舗リーダーの河又美予さんは話す。
1位は『ANA苦闘の1000日』
それではランキングを見ていこう。今回は11月の月間ランキングを紹介する。
(1)ANA苦闘の1000日 | 高尾泰朗著(日経BP) |
(2)数値化の鬼 | 安藤広大著(ダイヤモンド社) |
(3)「会社四季報」業界地図 2023年版 | 東洋経済新報社編(東洋経済新報社) |
(4)限りある時間の使い方 | オリバー・バークマン著(かんき出版) |
(5)マッキンゼー 勝ち続ける組織の10の法則 | スコット・ケラーほか著(日本経済新聞出版) |
(5)これからの日本の論点2023 | 日本経済新聞社編(日本経済新聞出版) |
(5)きみの人生に作戦名を。 | 梅田悟司著(日本経済新聞出版) |
(5)経営理論をガチであてはめてみたら自分のちょっとした努力って間違ってなかった | さわぐちけいすけ・マンガ、入山章栄・原作協力(日経BP) |
(5)教養としての「ラテン語の授業」 | ハン・ドンイル著(ダイヤモンド社) |
(リブロ汐留シオサイト店、2022年11月1~30日)
1位の『ANA苦闘の1000日』は同社のお膝元の書店だけに息長く売れている。本欄でも10月に「ANA苦闘の1000日に密着 未曽有の危機にどう動いたか」の記事で取り上げた。2位の『数値化の鬼』は本欄3月の記事「いったん数字にして考える 仕事ができる人の思考法」で紹介した。刊行から半年以上たつが、最近多くの書店で再浮上している。3位には、定番の業界研究ムック『会社四季報業界地図 2023年版』が入った。今回紹介した『異能の掛け算』は12位だった。
(水柿武志)