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ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測しているリブロ汐留シオサイト店だ。土日を中心に人出の回復が続き、コロナ禍で落ち込んだ売り上げも戻りつつある。海外を扱った旅行書などが売り上げをけん引する一方、ビジネス書の売り上げは強い売れ筋の本が登場してこないこともあってか、回復道半ばといった趣だ。そんな中、書店員が注目するのは、経営学の泰斗が日本の歴史や戦後の企業の歴史から日本の社会システムの特徴をあぶり出した日本論だった。

考察の始めは漢字かな交じり文

その本は伊丹敬之『中二階の原理』(日本経済新聞出版)。伊丹氏といえば、日本を代表する経営学者の一人で、『経営戦略の論理』『人本主義企業』などの主要著作が長く読み継がれてきた。その著者が「妙な本を書くことになったものだ」とあとがきにふと書き留めることになった、一風変わった論考が本書だ。副題には「日本を支える社会システム」とあって、正面切った経営書ではない。日本社会が歴史的に持ってきた「中二階の原理」に積極的な意味を見いだし、日本企業や日本社会が進むべき道を照らす光源にしていこうというのが本書の主張だ。

「中二階の原理」とは何か。少し長いが序章から引いてみる。「二階に全体を動かす基本原理があり、一階にその原理のもとで生きている人々が住んでいる現場がある。そして中二階の位置にじつは二階とは別の原理のようなものが挿入されていることが多いのが、日本の社会システムであり、企業組織である。そして中二階の原理は、二階の原理を現場(一階)に貫徹しようとすると現場で生まれるねじれ感覚を、中和するために挿入される」

この原理を詳しく見るために、著者は前半の2章で日本史をさかのぼり、漢字かな交じり文の成立と天皇制という統治システムを考察、さらに明治維新期の廃藩置県と戦後期の農地改革を分析してこの原理が果たしてきた役割を考える。

経営書の書棚中段の平積みコーナーに展示する(リブロ汐留シオサイト店)

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