まず目の前のツールを使いこなそう

DXのためのリスキリング、といわれたとしても、あわててプログラミング講座に手を挙げる必要はありません。むしろ、まず目の前のツール活用を考えてみてください。

たとえば多くの会社で導入されているセールスオートメーションツ―ルですが、実際にその利用率は4割ほどしかない、という声も聞きます。私が主に関わるHRテック業界でも、タレントマネジメントシステムを入れたけれどまだ使っていない、という企業人事の声も聞くくらいです。

まず目の前にツールを使いこなせるようになる。

そこから初めて、業務にデジタルを活用することの価値を感じてみてください。そうして、「業務プロセスを変える」ことが自分たちのメリットにもなる、ということがわかれば、そのことについて社内で情報発信していけばよいでしょう。

課題解決が先、そのためのデジタル化

私たちリスキリングというキーワードから、新しい能力を獲得しなければ、というプレッシャーを感じます。そしてついつい学ぶ方向に意識を集中させがちです。

しかしどんなツールも使いこなして初めて意味が出てきます。

デジタルツールも、なんらかの課題を解決するために導入されるものであり、その結果として価値を生み出すことを期待されています。

だとすれば、リスキリングなどのキーワードに戸惑う必要はありません。もちろんデジタルに対する拒否反応を少し低める必要はあります。しかし、課題解決と成果創出というビジネスの基本は、ツールがどのように変わろうとも不変なのですから。

平康慶浩
 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。グロービス経営大学院准教授。人事コンサルタント協会理事。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで180社以上の人事評価制度改革に携わる。
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