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スピード調整機能では、ぷよが落ちてくるスピードを遅くすることで、従来よりもゆっくりしたスピードでゲームをプレーできるようにした。シニア層のために新規に開発したのだが、シニア以外の人たちにも好評だった。ゲーム初心者はもちろん、病気やけが、障がいで、体の一部が動きにくかったりする人たちだ。最初は一番遅いスピードで練習し、慣れてきたら通常のスピードに挑戦するという。これまでスピード調整機能を入れなかったのは、「ゲーム性が損なわれてしまうのでは」という心配があったからだが、結果的により多くの人に楽しんでもらえるようになった。

力量に差がある人同士でも楽しく遊べるように、「ハンデせってい」も用意。「激甘」「甘口」「中辛」「辛口」「激辛」の5つから選べる。甘口や激甘では連鎖のヒントをもらうことができる

「障がいのある方は、自分からゲームの不便さを伝えてくれることが少ないようだ。そうした人たちの多くは『自分は障がいがあるから仕方がない』と考え、プレーを諦めてしまう傾向があると、彼らを支援する方々から聞いた。少しでも多くの人にぷよぷよの施策を知ってもらい、遊んでもらいながら多様な要望を今後のゲーム作りにも反映していきたい」(五十嵐室長)

22年3月に開催したeスポーツ大会「GigaCrysta Presents ぷよぷよファイナルズ SEASON4」の様子。準優勝のぴぽにあ選手(左)は22年8月に愛媛県のeスポーツテクニカルアドバイザーに任命されており、愛媛県における障がい者eスポーツプレーヤー活動の支援なども行う
熊本県美里町の「美里町eスポーツでいい里づくり事業」にも協力。美里町ではeスポーツを活用したアクティブシニア支援や、高齢者と若者の世代間交流イベントなどが行われている

(ライター 近藤彩音、写真提供 セガ)

[日経クロストレンド 2022年9月28日の記事を再構成]

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