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松本大 マネックスグループ社長

松本大 マネックスグループ社長

2020年から続く新型コロナウイルス禍。足元では変異型「オミクロン型」の感染が拡大するなど先行きは依然として不透明ですが、マネックスグループ社長の松本大氏はコロナ禍の動向にかかわらず、22年は「インフレに注目している」と言います。その理由などを聞きました。

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コロナ禍の行動制限緩和 一気に需要増

コロナ禍を機に日常のあらゆることが変化し、ビジネスの世界もこれまで以上に変化への対応力が問われています。こうした中で私が今、最も注目している変化はインフレです。過去2年間のコロナ禍による経済活動の停滞で、原材料や製品、サービスの供給が全般的に減少しました。しかし、各国で行動制限が緩和されたことによって需要が一気に増え、供給が追いつかなくなった結果、モノ・サービスの価格が上昇し始めています。ただ、これは一過性の現象で、時間がたてばある程度解消すると思います。人手不足による人件費の高騰もコロナ禍で一時的に減らした雇用が戻ってくれば、落ち着きを取り戻すと思います。

一方、コロナ禍で停滞した経済を浮揚させるため、世界中でお金が刷られたので、モノ・サービスの総量に対してお金の供給が過剰になっています。当然、価格には上昇圧力がかかります。加えて、過去2年間でESG(環境・社会・企業統治)が重視されるようになった影響も見逃せません。

E(環境)の分野では脱炭素の大きな流れの中で、化石燃料の供給はどうしても抑制的になりますから、エネルギー価格は上昇するでしょう。S(社会)やG(企業統治)の分野では「ダイバーシティー(多様性)」「エクイティ(公平)」「インクルージョン(包摂)」のいわゆるDEIに消極的な企業に対し、投資家や労働者は厳しい目を向けるようになっていますから、企業は働く人たちの環境を整え、待遇を良くしようとします。それ自体はいいことですが、人件費の押し上げ要因になります。こうしたESGを起点にしたエネルギー価格や人件費の高騰は一過性ではなく、中長期で続くでしょう。

お金とモノの供給量のアンバランスで起きているインフレに対しては金利の引き上げで対応しますが、ESGを背景とするインフレ圧力には金利政策は効かない。つまり、ESGを起点にしたインフレの範囲は全体ではなく、一部だと思いますが、コントロールするのが難しい。そう考えると、今はコロナ禍の反動による一時的なインフレと、マネーの過剰供給による従来型インフレ、ESG重視の流れで起きている部分的だけれども長期的に続きそうなインフレの全てが起きる条件がそろっていますから、インフレが起きるのはもう間違いないと思います。問題は起きるか起きないかではなく、いつ、どういう形で起きるのか。その時どう対処するかです。

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